UNWTO事務局長ポロリカシヴィリ、政府の対応を強く非難
再選支持撤回巡り「深層国家」発言で混乱
国際連合世界観光機関(UNWTO)のズラブ・ポロリカシヴィリ(Zurab Pololikashvili)事務局長が、与党「ジョージアの夢(Georgian Dream)」政権の対応を強く批判しました。5月14日にジョージアの主要メディアが報じたところによると、同氏はイラクリ・コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相との連絡が取れなかったと主張し、「カギ十字架のような決定」と表現するなど、異例の強い表現で反発しました。
国際機関での再任を巡る攻防
問題の発端は、ジョージア政府がUNWTO事務局長再選への支持を突然撤回し、アラブ首長国連邦(UAE)候補を支持すると表明したことにあります。ポロリカシヴィリ氏はこれについて「長期間にわたる無視が決定的だった」と述べ、12時間のフライト中にこの決定を知ったと証言。政府側の「本人との合意があった」とする主張を強く否定しました。
「私は深層国家(deep state)もグローバル戦争派も代表しない。ただのUNWTO事務局長だ」
―ポロリカシヴィリ事務局長
政府側の反論と「国家反逆」非難
これに対しコバヒゼ首相はメディアを通じ、「国際機関指導者として不適切な言動」と反論。ポロリカシヴィリ氏の「深層国家」発言を事実無根と断じつつ、複数の国家から反対意見が寄せられたことが判断材料になったと説明しました。
政府与党のマムカ・ムディナリゼ(Mamuka Mdinaradze)院内総務は更に踏み込み、「国家利益に反する行動」と厳しく非難。「ジョージアに奉仕しない人物を支持できない」と述べ、ポロリカシヴィリ氏の姿勢が外交関係に影響を与えたとの見解を示しました。
背景にある国際社会の力学
専門家によれば、この騒動には以下の要因が絡んでいると分析されます:
- 国際機関トップの3期連続就任に対する国際社会の懸念
- 中東諸国との関係強化を図るジョージアの外交戦略
- EU加盟候補国としての立場を意識したバランス調整
今後の展開に影響必至
ポロリカシヴィリ氏は2018年からUNWTO事務局長を務め、2021年に再選されました。今回の騒動はジョージアの国際機関への影響力維持に影を落とす可能性があり、観光業を主要産業とする同国にとって重要な局面を迎えています。
政府関係者は「候補者交代は国家戦略上の判断」と主張する一方、野党からは「外交的失態」との批判も出ており、国内政治における新たな対立軸が生まれつつあります。
メディアソース: civil.ge