OSCE事務局長がジョージアを訪問 2024年議会選挙後の初視察
要人訪問の背景と目的
欧州安全保障協力機構(OSCE)のフェリドゥン・シニルリオール(Feridun Sinirlioğlu)事務局長が4月22日から24日にかけてジョージア(グルジア)を公式訪問しました。この訪問は2024年10月の議会選挙後初のOSCE高官による視察で、選挙監視報告書で指摘された課題への対応が注目されています。
主要な会談内容
シニルリオール事務局長は初日に外相のマカ・ボチョリシヴィリ(Maka Bochorishvili)と会談。ボチョリシヴィリ外相は「OSCEの基本原則へのコミットメントを再確認する重要な機会」と評価し、ロシアによるアブハジアとツヒンヴァリ地域の占領問題について「国際法違反が継続している」と指摘しました。
選挙管理委員会との協議
23日には中央選挙管理委員会(CESKO)のギオルギ・カランダリシヴィリ(Giorgi Kalandarishvili)委員長と会談。2024年総選挙での電子投票システム導入の進捗や、10月予定の地方選挙準備状況について意見交換が行われました。野党側からは「前回選挙の不正」を理由に選挙ボイコットの動きが出ています。
占領地域の現状視察
事務局長は占領境界線近くのオジシ村を視察。現地の人道状況を確認するとともに、2018年から停止しているガリ地区のIPRM(インシデント予防・対応メカニズム)再開の必要性を強調しました。
政治指導者との会談
イラクリ・コバヒゼ首相や次期大統領のミヘイル・カヴェラシヴィリ(Mikheil Kavelashvili)とも会談を実施。コバヒゼ首相はX(旧Twitter)で「地域安定化に向けたOSCEとの連携強化が不可欠」と発信しました。
国際社会の懸念
今回の訪問に先立ち、米国ヘルシンキ委員会のジョー・ウィルソン共同議長は「与党『ジョージアの夢』による権威主義的傾向への懸念」を表明。OSCEが政治的に利用されるリスクに警鐘を鳴らしていました。
今後の展望
ジョージア政府はOSCEとの協力継続を表明する一方、野党や市民団体との対話機会が設けられなかった点が課題として残りました。今秋の地方選挙を控え、民主的手続きの透明性確保が改めて問われる情勢です。
メディアソース: geinfojp.wordpress.com