EU非公式会合でジョージア招待回避 候補国招請めぐり波紋拡大
EU側が示す懸念とジョージア政府の反発
ポーランド・ワルシャワ(Varszava)で5月7日から8日にかけて開催されたEU外務大臣非公式会合(通称:ギムニヒ)に、ジョージア(グルジア)が招待されなかったことが波紋を広げています。EU候補国の招致をテーマにしたこの会議で、2023年に候補国地位を獲得したジョージアが除外された背景には、EU側が指摘する民主化プロセスの停滞が影響しているとみられています。
EU高官が指摘する「逆行する民主化」
EUのマルタ・コス(Marta Kos)副大統領はSNSで「候補国と共に欧州の未来を築くことが重要」と述べたものの、現地メディアによるとジョージア政府の最近の動きがEU加盟に向けた前進を阻んでいるとの見解を示しました。在ジョージアEU大使パヴェル・ヘルチンスキー(Pavel Herczyński)は「候補国地位獲得後、必要な進展や政治的意思が示されていない」と苦言を呈し、特に政府が推進する論議を呼ぶ法案が欧州統合を遠ざけていると指摘しました。
「ジョージアの夢」政権の強硬な反論
与党「ジョージアの夢」のイラクリ・コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相は「EUがダブルスタンダードを適用している」と強く反発。「我々は全ての要件を満たそうと努力しているが、深層国家(ディープ・ステート)の影響を受けた欧州側の不当な扱いを受けている」と主張しました。同党のマカ・ボチョリシュヴィリ(Maka Bochorishvili)外相も「ポーランドが元大統領ミヘイル・サアカシュヴィリ(Mikheil Saakashvili、2004-2013年在任)に共感を示していることが背景にある」と批判を強めています。
専門家が指摘する懸念材料
政治アナリストの間では、ジョージア議会で審議中の「外国影響力法案」が欧州の基準に反するとの指摘が相次いでいます。この法案はNGOやメディアへの規制強化を内容としており、EUから「言論の自由を制限するもの」として強い懸念が表明されていました。ドイツのペーター・フィッシャー(Peter Fischer)大使は「民主的な改革が進むまで高レベル接触を凍結するという昨年6月の決定を想起させる」と述べ、早期の是正を求めています。
市民のEU統合への期待と政治の齟齬
最新世論調査では国民の79%がEU加盟を支持する一方、政府と欧州側の緊張が続いています。元大統領サロメ・ズラビシュヴィリ(Salome Zurabishvili)は「民主主義が危機に瀕している」と警告するなど、国内でも懸念の声が高まっています。日本政府関係者は「ジョージアの安定は黒海地域の安全保障にも重要」と指摘しつつ、透明性ある改革の必要性を強調しています。
メディアソース: civil.ge