EU大使がジョージア政府を非難 民主主義逸脱で制裁検討の動き
EUがジョージアの民主主義後退に懸念表明
在ジョージアEU代表部のパヴェル・ヘルチンスキ大使(Pavel Herczyński)が5月14日、与党「ジョージアの夢(Georgian Dream)」を民主主義原則からの逸脱で厳しく批判した。EU加盟を目指す同国の姿勢に重大な疑問符を投げかける発言が注目を集めている。
EU加盟条件との矛盾指摘
ヘルチンスキ大使は記者団に対し「ジョージアがEU加盟申請時に約束した民主主義・法の支配・人権保護の義務が守られていない」と指摘。2023年にEU候補国地位を獲得した後、政府がこれらの約束に反する行動を取っていると非難した。
特に懸念されるのは「過去数ヶ月間に観察されたデモ参加者への威嚇・暴力・残虐行為」で、加害者の不処置が常態化していると強調。「EUからの政策転換要請が完全に無視されている」と述べた。
制裁実施に向けた動き加速
EUは現在、暴力行為の責任者に対する制裁導入を検討中。ヘルチンスキ大使は「加盟国間の合意形成に時間を要するが、複数国が独自制裁を既に実施」と説明。バルト三国やポーランドが個別に制裁を科している事実を明らかにした。
野党弾圧に警告発令
与党による野党活動の禁止動向にも言及し「政治的反対派の排除は欧州の道ではない」と批判。対話による問題解決を強く求めた。これに対しジョージア政府は「内政干渉」として反発する構えを見せている。
EU特恵関係の見直し示唆
懸案事項としてビザ免除制度や自由貿易協定の見直し可能性に触れ「特恵関係の継続には民主主義国家としての要件が必要」と指摘。現状が続けば「ジョージアが真にEU加盟を望んでいるか疑問が生じる」と述べ、EU加盟プロセスに暗雲が垂れ込める状況を浮き彫りにした。
日本との関係では、ジョージアが2017年にビザ免除措置を導入して以来、日本人観光客が増加傾向にあったが、政治情勢の不安定化が人的交流に影響を及ぼす可能性も懸念される。両国は共に民主主義と法の支配を重視する立場から、今後の展開が注目される。
メディアソース: civil.ge