英ジャーナリスト入国拒否問題にRSFが懸念表明
ウィル・ニール(Will Neal)氏は2022年からジョージア(Georgia)に居住する英国籍のジャーナリスト。同氏が欧州連合(EU)諸国を経由してジョージア入国を試みた際、入国を拒否された。国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団(RSF)」は5月28日、この措置を「恣意的で政治的な決定」として強く批判した。
疑惑の報酬と中傷キャンペーン
問題の発端はニール氏が2024年4月に発表した調査報道。ロンドンのケンジントン地区にあるハンネウェル・パートナーズ(Hunnewell Partners)投資グループと、EUの制裁対象であるロシア人実業家ロマン・アブラモビッチ(Roman Abramovich)との取引関係を暴いた内容が、ジョージア政権与党「ジョージアの夢(Georgian Dream)」支持者からの激しい批判を招いた。
ニール氏はRSFに対し「政府系メディアと与党関係者による組織的な中傷キャンペーン」が展開され、自身が「ソロスの代理人」としてレッテル貼りされたと訴えている。現在同氏は入国拒否により旧ソ連構成国のエレバン(Yerevan/アルメニア)で足止め状態にあり、トビリシ(Tbilisi)に残した私物にもアクセスできないという。
RSFの強硬姿勢
RSF東欧・中央アジア部門責任者ジャン・キャバリエ(Jean Cavallie)氏は声明で「ニール氏のケースはジョージア政府が独立したジャーナリズムを排除しようとする新たな段階を示している」と指摘。英国政府に対し「自国民の権利侵害についてジョージア当局に説明を求めるべき」と要請した。
類似事例の増加傾向
近年ジョージアでは活動家や人権擁護者、EU関係者の入国拒否が相次いでいる。2025年5月21日にはEU代表部職員が入国を拒否される事態が発生。当局は「技術的問題」と説明したが、野党勢力からは「反欧米レトリックの激化と関連がある」との批判が噴出している。
国際社会の反応
RSFの最新報告書によると、ジャーナリストの自由に関するジョージアの世界順位は過去5年で89位から103位に後退。欧米諸国では民主主義の後退を懸念する声が高まっており、今回の措置がさらなる国際的非難を招く可能性が指摘されている。
メディアソース: civil.ge