民主化の後退とEU統合への課題
ジョージア(Gruzia)では「反ロシア法」への抗議デモが100日以上続く中、エストニア外務大臣マルグス・ツァフクナ(Margus Tsahkna)が同国の民主化とEU統合の行方について懸念を表明した。ツァフクナ氏は冷戦期にソ連支配下での民主化闘争を経験したエストニアの立場から、ジョージア情勢を分析した。
現政権への批判と制裁措置
エストニアは「ジョージアの夢」政権のイラクリ・コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相や党創設者のビジナ・イワニシュビリ(Bidzina Ivanishvili)氏ら数十人の関係者に対して個人制裁を発動。ツァフクナ外相は「民主主義の逆行とロシアへの傾斜を止めるため、欧州各国が連携すべき」と訴える。
ロシアとの妥協論への反論
「ウクライナやジョージアでのロシアの要求を受け入れることは、欧州全体の安全を損なう」
と指摘。2008年の南オセチア紛争を「警鐘だったが見過ごされた」と振り返り、現政権がメディア弾圧や反対派への暴力を続ける限り、制裁を強化すると強調した。
EU加盟への長い道のり
投資環境の悪化
ツァフクナ氏は「法の支配が機能せず一党支配が強まる状況は、投資家にとって最大のリスク」と指摘。エストニアが従来実施していた開発プロジェクトの大半が停滞している現状を明かした。ただし、ジョージアの自然や文化へのエストニア人の関心は依然高く、観光面での交流は継続しているという。
市民社会への連帯
「我々は民主主義を求めるジョージア市民と共にある」と表明。ソ連からの独立闘争で経験した市民連帯の重要性を強調し、自由を求めるデモ参加者への支持を明言した。
ウクライナ支援と安全保障
フランスや英国が検討するウクライナ駐留構想について「長期的な平和には国際的な安全保障枠組みが必要」と支持を表明。ウクライナ支援が「ロシアの復讐主義を防ぐ最善策」だと語り、NATO加盟国として集団防衛体制への自信を示した。
最後にツァフクナ氏は「民主主義の未来はジョージア市民が決めるもの」と述べ、国際社会が自由な選択を保証する必要性を訴えた。EU候補国となったジョージアがどの道を選ぶか、その行方は地域の安定を左右する重要な岐路に立っている。
メディアソース: civil.ge