ロシア大統領、ジョージアに「友好継続」呼びかけ
第二次世界大戦でのナチス・ドイツに対する戦勝80周年を記念した書簡で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はジョージア(Georgia/საქართველო)国民に対し「友好と相互支援の良き伝統を維持するよう」呼びかけました。ロシア国営通信タス通信が5月3日に報じた内容によると、プーチン氏は独立国家共同体(CIS)加盟国に向けたメッセージの中でこのような姿勢を示しました。
異例の直接呼び掛け
問題の書簡で特筆すべきは、ジョージア政府ではなく国民直接に向けて発信された点です。プーチン氏は「共通の歴史的遺産を忘れず、友好民族間の不和をまき散らすことを避けるよう」要請。ロシアによる軍事介入で分断状態が続くアブハジア(Abkhazia/აფხაზეთი)とツヒンヴァリ地域(南オセチア)の事実上の指導者にも、別途祝意を伝えています。
背景にある地政学的緊張
この発信には複雑な背景が存在します。ジョージアでは現在、野党がEU加盟申請加速を推進しており、2023年12月には正式な候補国認定を受けています。ロシア側はこうした西側接近に警戒感を強めており、歴史的繋がりを強調するメッセージを発信することで影響力維持を図っていると分析されます。
地域勢力への個別対応
分離地域への言及は国際的な非難を招く可能性があるものの、ロシアは自国が承認するアブハジアと南オセチアの統治機構(日本政府は承認せず)を「正当な代表」として扱っています。地元メディアのCivil.geによれば、ロシア軍は近々アブハジアのソフミ(Sokhumi/სოხუმი)空港で定期便運航を開始する予定です。
こうした動向に対し、ジョージア政府はこれまで一貫して領土の一体性回復を訴え続けてきました。戦勝記念日に伴うプーチン大統領の「友好メッセージ」が、実際には同地域の複雑な政治状況を反映した地政学的メッセージとして受け止められている実態が浮き彫りになっています。
メディアソース: civil.ge