ロシアのアブハジア直行便開始にジョージア政府が国際法違反で非難
ロシアによる直行便運航の開始
5月1日、ロシアが占領下のアブハジア(アブハジア自治共和国、Abkhazia)への定期直行便の運航を開始したことを受け、ジョージア政府は国際規範と国内法違反を理由に強く非難した。ロシア国営通信社「リア・ノーボスチ」によると、航空会社UVT Aeroは需要の高まりを理由に、モスクワ・ヴヌーコヴォ空港からソフミ(Sokhumi)行きの初便を予定より2日早く運航。当初3日に予定されていたこの便は、ロシアと占領地域を結ぶ初の公式航空路線となった。
ジョージア政府の反応
レヴァン・ダヴィタシヴィリ(Levan Davitashvili)副首相兼経済・持続可能開発相は記者会見で「政府の立場は明確で、国際規範に反する空港運営を強く非難する」と表明。国際民間航空機関(ICAO)の支持を得ていると強調した。
同副首相は「占領下のアブハジアとロシア間の航空便は、国際航空基準とジョージアの『占領法』の双方に違反する」と指摘。ICAO基準に基づく安全基準の評価が不可能な状況下での運航を「航空安全に重大なリスク」と断じた。
制裁対象企業の関与
ロシアメディアによると、iFly AirlinesとNordStarもモスクワ・クラスノヤルスクからソフミ便を追加する予定。これら3社は2022年のウクライナ侵攻後、西側諸国から制裁を受けている企業だ。
ジョージア民間航空局の声明
ジョージア民間航空局は声明で「占領下のアブハジアからの国際航空便運航は、国際法と『占領地域に関する法律』の重大な違反」と改めて表明。ソフミ空港がジョージア当局の認可を受けていないため、安全基準の監視が不可能な状態を問題視した。
「シカゴ条約(国際民間航空条約)の締約国として、ジョージアは常にICAO基準を遵守している」と強調。外務省を通じてICAOに正式抗議を行い、占領地域からの国際便禁止を国際議題として提起し続ける方針を示した。
ジョージア外務省の対応
ジョージア外務省は1日、ロシアによる占領地域での航空路再開に「深い懸念」を表明。2008年8月12日の停戦合意を含む国際義務の履行を要求した。
「ソフミ空港のロシアへの『移管』協定は、ジョージアの主権と領土保全、国連憲章、ICAO条約の重大な違反」と指摘。国際社会に対し、ロシアの挑発的行為への適切な対応を求めた。
背景となる緊張
ロシアは2月7日に32年ぶりにソフミ空港への試験飛行を実施。3月にはソチ(Sochi)~ガグラ(Gagra)間を延伸する鉄道試験運行も行っており、ジョージア側は「占領支配の強化策」と批判している。
アブハジアの事実上の当局は3月26日、ジョージアの姿勢を「対立的レトリック」と反発するなど、地域情勢は緊迫を続けている。
メディアソース: civil.ge