ロシアが占領下アブハジアに直行便開始 ジョージア政府が国際法違反を非難
ロシアの直行便運航に強く抗議
5月1日、ロシアが国際的に未承認のアブハジア(Abkhazia)占領地域への定期直行便の運航を開始した問題で、ジョージア政府は国際法と国内法の重大な違反だと非難しました。ロシア国営通信社リャ・ノーヴォスチによると、UVT Aero航空がモスクワ・ヴヌーコヴォ空港からソフミ(Sokhumi)への初便を、当初予定より2日早く運航。これは1992年の紛争以降、ロシアとアブハジアを結ぶ初の公式航空路線となりました。
ジョージア政府の対応
レヴァン・ダヴィタシヴィリ(Levan Davitashvili)副首相兼経済相は「ICAO(国際民間航空機関)の基準に反する空港運営を強く非難する」と表明。同地域との航空路開設が「占領法」と国際航空協定の二重違反にあたると指摘しました。さらに「安全基準の検証が不可能な空港での運航は、航空安全に重大なリスクをもたらす」と警告しています。
拡大するロシアのインフラ整備
ロシア側はUVT Aeroに加え、iFly AirlinesとNordStar航空も5月中に運航開始を計画。これら3社は2022年のウクライナ侵攻後、西側諸国から制裁を受けている企業です。鉄道分野でも動きが活発化し、2月27日には最新型電車「ラーストチカ」がソチ~ソフミ間で試験運行を実施。ジョージア政府は「占領地支配の強化策」と批判しています。
国際社会への働きかけ
ジョージア民間航空庁は「ソフミ空港はICAO基準を満たさず、国際運航は違法」とする声明を発表。外務省もロシアに対し、2008年の停戦合意とチカゴ条約(国際民間航空条約)の順守を要求する外交文書をICAOに提出しました。ダヴィタシヴィリ副首相は「違法運航に関与する航空会社はジョージア国内での事業を禁止する」と述べ、制裁措置を明らかにしています。
歴史的背景と現状
アブハジアでは1992-1993年の紛争後、親ロシア政権が樹立。2008年のロシア・ジョージア戦争を経て、ロシアが独立を承認していますが、国際社会の大多数はジョージアの領土一体性を支持。今回の空港運営を巡っては、3月にアブハジア暫定政権が「対話姿勢を求める」と反発するなど、緊張が高まっています。
ジョージア政府は現在、日本を含む国際社会に対し、ロシアの一方的な行動に対する共同対応を呼びかけています。日本政府も従来、ジョージアの領土保全を支持する立場を表明しており、今後の国際的な動向が注目されます。
メディアソース: civil.ge