ロシアが占領下アブハジアに直行便開始 ジョージア政府が国際法違反と非難
強まるロシアの動きとジョージアの反発
5月1日、ロシアが占領下のアブハジア(Abkhazia)地域への直行便運航を開始したことを受け、ジョージア政府は国際法およびジョージア国内法の重大な違反として強く非難しました。ロシア国営通信社リャ・ノヴォスチの報道によると、UVT Aero航空がモスクワ・ヴヌーコヴォ空港からアブハジアの中心都市スフミ(Sokhumi)への定期便を2日早めて運航。当初5月3日に予定されていた運航は、ロシアと占領地域を結ぶ初の公式航空路線となりました。
ジョージア政府高官の声明
与党「ジョージアの夢」のレヴァン・ダヴィタシヴィリ副首相(Levan Davitashvili)は記者会見で「ICAO(国際民間航空機関)の基準に基づき、占領地域での空港運営は明白な国際規範違反だ」と指摘。同氏は2008年に制定された「占領地域法」に触れ、国際航空基準とジョージア法の双方に違反していると強調しました。
ロシア側の追加路線拡大計画
2014年にウクライナ侵攻で西側諸国から制裁を受けたiFly AirlinesとNordStar航空も、近くモスクワおよびクラスノヤルスク発の路線を追加する予定です。この動きに対しジョージア当局は「占領地域法に違反する航空会社は国内での運航を許可しない」と警告しました。
国際社会への働きかけ
ジョージア民間航空庁はICAOに対して公式に通報し、占領地域からの国際航空便が「航空安全基準を満たさない危険な行為」であることを改めて主張。スフミ空港がジョージア政府の認証を受けていない点を指摘し、旅客の安全が脅かされると訴えています。
歴史的背景と日本との関係
スフミ空港への初の旅客機着陸は32年ぶりで、2023年12月に試行便が運航されていました。この動きは、ジョージア政府が「ロシアによる占領支配の強化策」と位置付けています。日本政府もジョージアの領土保全を支持しており、2015年には両国間で投資協定が締結されるなど、経済的な結びつきも深まっています。
鉄道網拡充の動き
航空路に加え、ロシアは2月27日にソチ(Sochi)~スフミ間で新型電気列車「ラーストチカ」の試験運行を実施。これに対しジョージア外務省は「占領地域の実効支配を固める試み」と批判しています。
国際社会への要請
ジョージア外務省は声明で「ロシアの行為が国連憲章や2008年の停戦合意に反する」と非難し、国際社会に対応を呼びかけました。ICAOにはすでに外交ルートを通じて抗議文書が提出されており、今後の国際的な対応が注目されます。
※本記事は2025年5月2日16時45分にジョージア外務省の最新声明を追加して更新されました
メディアソース: civil.ge