ロシアがアブハジア直行便開始 ジョージア政府が国際法違反で非難
ロシアの直行便運航開始とジョージアの反応
ロシアが5月1日、占領下のアブハジア(Abkhazia)地域のソフミ(Sokhumi)空港への定期直行便の運航を開始した。これに対しジョージア政府は、国際規範と国内法の重大な違反であるとして強く非難した。ロシア国営通信社「リア・ノーボスチ」によると、UVT Aero航空がモスクワ・ヴヌーコヴォ空港からソフミへの初便を、当初予定より2日早く運航した。
ジョージア政府高官の声明
レヴァン・ダヴィタシヴィリ(Levan Davitashvili)経済・持続可能開発相は「国際民間航空機関(ICAO)の基準に反する空港運営を断固として非難する」と表明。アブハジアとロシア間の航空路が「占領法」と国際航空基準の双方に違反すると指摘した。同相は「安全基準の検証が不可能な状況下での運航はICAOが認めない」と強調した。
ロシア側の動向と国際社会の対応
ロシアはiFly航空とNordStar航空による追加便の運航も計画。これら3社は2022年のウクライナ侵攻後、西側諸国から制裁を受けている。ジョージア政府は「違法運航を行う航空会社の国内活動を阻止する」方針を示した。
ジョージア民間航空局の見解
ジョージア民間航空局はソフミ空港を「非合法施設」と位置付け、シカゴ条約に基づく国際基準違反を指摘。同空港がジョージア当局の認可を受けず、安全監査が実施できない状態であると警告した。ICAOに対し正式な抗議文書を提出済みとされる。
EUの反応と国際的な支持
EU外務・安全保障政策上級代表の報道官は「ジョージアの主権侵害だ」と非難声明を発表。EUがジョージアの領土保全を支持する立場を改めて表明した。ロシアによる鉄道接続拡大の動きも「占領体制強化の試み」として警戒感を示している。
歴史的背景と地域情勢
ソフミ空港では32年ぶりとなるロシア機の試験飛行が2024年2月に実施されていた。ジョージア政府は1990年代の紛争以降、アブハジアを自国領と主張し続けており、ロシアのインフラ整備を「実効支配の固定化」とみなしている。
メディアソース: civil.ge