ロシアがアブハジア直行便開始 ジョージア政府が国際法違反を非難
ロシアのアブハジア直行便に抗議
ロシアが5月1日、占領下にあるアブハジア(Abkhazia)地域のソフミ(Sokhumi)空港への定期直行便の運航を開始したことを受け、ジョージア政府は国際法と国内法の違反だと強く非難しました。ロシア国営通信社「リア・ノーボスチ」によると、UVT Aero航空は需要の高まりを理由に、モスクワ・ヴヌーコヴォ空港発の便を当初予定より2日早く運航。同路線はロシアとアブハジアを結ぶ初の公式航空路線となりました。
ジョージア政府の反応
レヴァン・ダヴィタシヴィリ(Levan Davitashvili)副首相兼経済・持続可能開発相は「国際民間航空機関(ICAO)の支持を得て、占領地での空港運営を国際規範違反として糾弾する」と表明。アブハジアとロシア間の航空便が「占領に関する法律」に加え、国際航空基準にも違反すると指摘しました。
同相は「ICAO基準に基づく安全審査が実施できない状況下での運航は認められない」と強調。ロシア系航空会社3社(UVT Aero、iFly、NordStar)がウクライナ侵攻後の西側制裁対象企業である点にも言及しました。
インフラ強化の動きに警戒
ロシアは2月7日に32年ぶりとなるソフミ空港への試験飛行を実施後、鉄道分野でも進出を加速。2月27日には最新型電車「ラーストチカ」がソチ(Sochi)~ソフミ間で試験運転を行いました。ジョージア政府はこれらの動きを「占領地支配の強化策」と批判しています。
国際社会の対応
ジョージア民間航空局は「ソフミ空港は国際法上違法な施設」との声明を発表。外務省はICAOに対し正式抗議文書を提出し、EUも「ジョージアの主権侵害」としてロシアを非難しました。EU広報官は「必要な航空コードがない状況での運航は容認できない」と述べています。
歴史的背景と現状
アブハジアは1990年代の紛争以降、ロシアの実効支配下にあります。ジョージア政府は同地域を「占領地」と位置付け、国際社会の83カ国がこれを支持。日本政府も一貫してジョージアの領土保全を支持しています。
今回の航空路開設は、ロシアが1ラリ=52円で計算すると約2億円規模のインフラ投資を実施した後に行われたもので、地域支配の固定化を図る戦略と分析されています。ジョージア観光省の統計によると、同国への日本人観光客は年間約5,000人で、歴史的遺産を求める旅行者が増加傾向にあります。
メディアソース: civil.ge