ロシア、占領下アブハジアに直行便開始 ジョージア政府が国際法違反で非難
ロシアの直行便運航開始に抗議
5月1日、ロシアが占領下のアブハジア(Abkhazia)地域でモスクワ・ヴヌーコヴォ空港とスフミ(Sukhumi)を結ぶ定期直行便の運航を開始した問題で、ジョージア政府は国際法と国内法の重大な違反として強く非難しました。ロシア国営通信「リア・ノーボスチ」によると、UVT Aero航空が需要の高まりを理由に、当初5月3日予定だった初便を前倒しで運航。これはロシアと占領地域間で初の公式航空路線となります。
ジョージア政府高官が厳重抗議
レヴァン・ダヴィタシヴィリ(Levan Davitashvili)副首相兼経済相は「国際民間航空機関(ICAO)の支持を得て、国際規範に反する空港運営を断固非難する」と表明。占領地域との航空路が国際航空基準とジョージアの「占領法」に違反すると指摘しました。
「ICAO基準に基づく安全審査が実施できない状況下での運航は、航空安全に重大なリスクをもたらす」とダヴィタシヴィリ氏は強調。違反航空会社のジョージア国内での運航を禁止する方針を示しました。
国際社会の反応
EUがロシアを批判
欧州連合(EU)は5月3日、スフミ空港への定期便開始を「ジョージアの主権侵害」と非難する声明を発表。ICAOコードが割り当てられていない空港の使用が国際航空法規違反にあたると指摘しました。
ジョージア外務省の対応
ジョージア外務省はロシアに対し、2008年停戦合意やICAO条約の履行を要求。スフミ空港の運営権移転に関する協定が「領土保全の重大な侵害」だと批判しました。国際機関を通じた対応を継続する方針を明らかにしています。
背景となる緊張
ロシアは2023年6月から鉄道接続の試験運行も開始。ジョージア政府はこれらを占領統治の強化策とみなしています。スフミ空港は1992年の紛争以来32年ぶりに民間機が着陸し、2025年本格再開を目指す動きが加速中です。
ジョージア民間航空庁は「国際路線の運航にはジョージア政府の許可が必要」と改めて声明。ICAOに対し、違法運航の阻止を要請する外交文書を送付しました。
今後の展開
ウクライナ侵攻後、西側諸国から制裁を受けるUVT Aero、iFly、NordStarの3社が追加路線を計画中です。ジョージア政府は国際社会と連携し、ロシアの「事実上の併合」阻止に向け対応を強化する構えです。
この動向は、黒海沿岸の戦略的要衝を巡る地政学的緊張の新たな局面を示しています。日本政府もジョージアの領土保全を支持する立場から、今後の国際的な議論に注目が集まります。
メディアソース: civil.ge