ラトビア外相、ジョージア政府の軌道に警鐘 EU統合への悪影響を指摘
外交関係の冷却化と民主化への懸念
ラトビアのバイバ・ブラーゼ(Baiba Bražē)外相は、ジョージア政府が「懸念すべき軌道を選択し、同国の欧州の未来を損なっている」と批判しました。両国は1991年の独立回復以来、緊密な関係を維持してきましたが、近年のジョージア情勢によって「公式接触と協力が大幅に減少」したと述べました。
特に懸念されているのは、ジョージア憲法に明記された欧州・大西洋統合の目標からの乖離です。ブラーゼ外相は「ジョージア国民の大多数が支持するEU加盟への道から、政府が逸脱している」と指摘し、政策転換の必要性を強調しました。
EU加盟への道筋と国内改革
2023年12月にジョージアがEU加盟候補国の地位を獲得したものの、ブラーゼ外相は「政府が選んだ現在の路線は重大な悪影響を及ぼす」と警鐘を鳴らします。EU側は加盟交渉開始に向けた道筋を提示しましたが、「民主的規範からの後退が続けば、統合プロセスは停滞する」との見解を示しました。
EUは引き続き市民社会組織や独立メディアへの支援を継続する方針です。ブラーゼ外相は「健全な民主主義の要であるこれら制度の保護が不可欠」と強調しました。
人権抑圧への対応と国際連携
ラトビアは2024年、ジョージア政府関係者42名に対し入国禁止措置を実施。バルト三国や北欧諸国と連携しながら「民主主義の後退に対する共同対応」を進めています。制裁対象者の身元は非公開ですが、政権批判勢力への弾圧関連者とみられています。
ブラーゼ外相は「抗議者や野党政治家への暴力を強く非難する」と表明。EUレベルでの制裁導入を求めるとともに、デモ参加者や若者層への支援継続を約束しました。
ウクライナ支援と欧州防衛体制
ラトビアはウクライナへの年間支援をGDP比0.25%以上に設定。2023年にはEU全体で200億ユーロ(約3兆2800億円)を超える軍事支援を行い、2024年は倍増を計画しています。EUの軍事支援ミッション(EUMAM Ukraine)では、これまでに7万5000人のウクライナ軍将兵を訓練しました。
「ヨーロッパ再軍備」計画では8000億ユーロ(約131兆円)規模の防衛投資を提案。ラトビア自身も国防費を2024年中にGDP比4%に引き上げる方針です。ブラーゼ外相は「米欧の緊密な連携が安全保障の要」としつつ、欧州側の責任強化が必要との認識を示しました。
今後の展望と課題
EUはジョージア市民の欧州志向を支持する姿勢を明確にしていますが、政府の政策変更が求められています。ブラーゼ外相は「民主的で安定したジョージアの実現に向け、EUは監視を継続する」と述べ、国際社会の注目が集まる中での政権の対応に焦点が当たっています。
ウクライナ情勢を背景にした地政学的緊張の高まりと、米欧関係の微妙なバランスの中で、ジョージアの民主化と欧州統合の行方は地域の安定にとって重要な試金石となっています。
メディアソース: civil.ge