プーチン大統領、ジョージア国民に友好継続を要請 戦勝80周年で占領地にも言及
戦勝記念日の演説でジョージア国民にメッセージ
ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、ナチス・ドイツ打倒から80周年を記念する書簡で、ジョージア(Georgia)国民に対し「友好と相互援助の良き伝統を維持するよう」呼びかけました。TASS通信がクレムリンの情報を引用して報じたところによると、プーチン大統領は独立国家共同体(CIS)加盟国への祝辞で各国指導者に宛てた一方、ジョージアの場合は直接国民へ向けてメッセージを発信しています。
歴史的遺産の保持を要請
プーチン大統領は「共通の歴史的遺産を風化させず、友好国間の不和を生む行為を控えるよう」求めたと伝えられています。この発言は、旧ソビエト連邦構成国だったジョージアとの歴史的紐帯を強調するもので、現在の緊張関係に配慮した政治的パフォーマンスと分析されています。
占領地域への別途祝福が波紋
注目すべきは、ロシアが実効支配するアブハジア(Abkhazia)とツヒンヴァリ地域(Tskhinvali Region)の事実上の指導者に対して別個の祝辞を送った点です。これらの地域は国際的にはジョージア領と認められており、この行為は同国の領土保全への挑戦と受け取られています。
背景に潜む地政学的意図
専門家は、プーチン大統領の対応を「ソ連時代の歴史的紐帯を利用した影響力工作」と分析。ジョージア政府が推進するEU加盟に向けた動きに対し、心理的圧力をかける意図があると指摘しています。現在ジョージアを統治する「ジョージアの夢」政権は親露的な政策で知られる一方、市民の約8割がEU加盟を支持しています。
地域安全保障への影響懸念
この発言は、5月1日からアブハジアの首都スフミ(Sokhumi)で定期直行便の運航を開始するというロシアの計画と時期を同じくしています。ジョージア政府は「占領地でのいかなる措置も合法化されない」と強く反発しており、地域の緊張が再燃する可能性が懸念されています。
戦勝記念日をめぐるロシアの一連の動きは、ウクライナ情勢に加え、旧ソ連圏における影響力維持のための多角的な戦略の一端を示しているといえます。日本政府も黒海地域の安定に注視しており、ジョージアの領土保全支持を改めて表明しています。
メディアソース: civil.ge