トルニケ・スヴィトリゼ裁判 警察官侮辱罪で物議 ジョージア政治スキャンダル
政治活動家の身柄拘束に人権懸念
ジョージア(グルジア)の首都トビリシ(Tbilisi)で、元国会議員のトルニケ・スヴィトリゼ(Tornike Shvangiradze)氏が職務中の警察官への侮辱罪で起訴され、司法の独立性をめぐる議論が過熱しています。地方裁判所は先週、同氏に対し700ラリ(約36,400円)の保釈金支払いを命じました。
事件の背景と当事者
騒動の発端は2023年5月、スヴィトリゼ氏が主要野党・統一国民運動(UNM)の集会参加者を拘束する警察官に向けて「卑劣な行為」と発言したこと。この表現が刑法180条(公務員の名誉毀損)と185条(侮辱罪)に抵触すると判断されました。
同氏の弁護団は「表現の自由の侵害」と主張。前立腺がん手術後の療養中に身柄を拘束された点について、欧州人権裁判所に救済を要請しています。国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチは「政府批判者の弾圧を懸念する」とする声明を発表しました。
政治的背景と客観性の欠如
元内務次官で市民運動「ディェルシ(Dīrsi)」創設者でもある同氏は、警察改革を求めて現政権と対立。今回の起訴について野党側は「政権が司法を利用して反対派を黙らせる企て」と非難しています。
政府系メディアは「公務員への名誉毀損は民主主義社会の基盤を脅かす」と報道する一方、独立系メディアは2024年総選挙を控えた政情不安を指摘。裁判の捜査期間が2年近くに及んだ事実に、法的手続きの透明性への疑問が呈されています。
国際社会の反応
欧州評議会の監視機関ヴェニス委員会は、ジョージアの表現の自由に関する法規制を見直すよう勧告。日本の国際人権NGO関係者も「公人批判と名誉毀損の境界線は慎重に判断すべき」との見解を表明しています。
今後の展開として、控訴審の行方が国内の民主主義の質を測る指標になるとの分析も。現地メディアは、裁判がEU加盟交渉に与える影響にも注目しています。
メディアソース: interpressnews.ge