トビリシ市裁判所が実業家2名に有罪判決 9年と8年の刑期宣告
判決内容と被告側の反応
ジョージアの首都トビリシ(Tbilisi)市裁判所は5月7日、実業家のギオルギ・チクヴァイゼ(Giorgi Chikvaidze)氏と共同被告のイラクリ・パピアシヴィリ(Irakli Papiashvili)氏に対し、多額の資金横領罪で有罪判決を下した。イザ・ケレンジェリゼ(Iza Kelendzeridze)裁判官はチクヴァイゼ氏に懲役9年、パピアシヴィリ氏に同8年を言い渡した。両被告は罪状を否認しており、弁護団は判決を控訴する方針を示している。
法廷内の緊迫した状況
パピアシヴィリ氏は判決言い渡し直後に法廷内で拘束され、家族や支援者から激しい抗議の声が上がった。チクヴァイゼ氏の母親であるエカ・ツェレテリ(Eka Tsereteli)氏は「この裁判は政治的に動機付けられたもの」と主張。息子とパピアシヴィリ氏を「良心の囚人」と呼び、与党「ジョージアの夢」創設者ビジナ・イヴァニシヴィリ(Bidzina Ivanishvili)氏に関する情報を保持していることが迫害理由だと訴えた。
事件の経緯と被告の主張
38歳のチクヴァイゼ氏は3月11日に逮捕され、当初は保釈金5万ラリ(約21万円)が課されたが、後に勾留に変更された。拘置所では4月10日まで10日間にわたるハンガーストライキを実施。逮捕前にはSNSで「国家保安局員80台の車両と110人が監視している」と主張する動画を公開し、携帯電話がハッキングされたと訴えていた。
判決前日の3月30日、車椅子で出廷したチクヴァイゼ氏は「ビジナ・イヴァニシヴィリ氏の代理人を名乗る心理学者が接触してきた」と法廷で暴露。これに対しケレンジェリゼ裁判官を「銀30枚で売り渡した女殺し人」と呼んだため、法廷から退去させられる事態が発生した。
国際社会への働きかけ
チクヴァイゼ氏は3月25日、米国と英国大使館に保護を要請。ロビン・ダニガン米国大使との面会を求めた文書で「両大使館は本件の未公開情報を把握している」と主張した。また3月のテレビインタビューでは「イヴァニシヴィリ氏のロシア諜報機関との関係」に言及し、自身の安全が脅かされた場合に備えて重要情報を保持していると述べていた。
政治的背景と今後の展開
ジョージアの夢党は2012年から政権を維持する与党で、イヴァニシヴィリ氏は同党の事実上の指導者として影響力を保持している。今回の判決を巡っては、政権批判勢力に対する圧力との見方も出ており、今後の控訴審の行方が注目される。被告側弁護団は「証拠不十分」を理由に無罪を主張し続ける構えだ。
メディアソース: civil.ge