ズラビシュヴィリ大統領、「ジョージアの夢」をEUビザ廃止巡る主権操作で批判
サロメ・ズラビシュヴィリ大統領(Salome Zourabichvili)が23日、与党「ジョージアの夢」幹部のEUビザ免除制度を巡る発言を厳しく非難した。同党が「ビザ免除と国家主権の間の偽りのジレンマ」を国民に押し付けていると指摘し、EU離れを目指すプロパガンダだと批判した。
「ジョージアの夢」が仕掛ける情報操作
ズラビシュヴィリ氏は、2024年11月28日にイラクリ・コバヒゼ首相(Irakli Kobakhidze)が「2028年までのEU統合プロセス凍結」を表明して以来の流れを継続するものだと分析。与党がEUビザ免除停止の可能性を誇張することで「国民の士気を低下させるキャンペーン」を展開し、欧州との関係断絶を画策していると述べた。
「この情報操作はブリュッセルからではなく、ティビリシ(Tbilisi)の現政権から発せられている。彼らの目的はビザ自由化を阻止することだ」
ロシア式政治手法への懸念
大統領は与党をロシア式の権威主義政治を模倣していると非難。ビザ免除問題を利用して「国際社会からの孤立を正当化しようとする動き」があると指摘し、責任の所在を明確にした。
「ビザ免除停止の責任をEUに転嫁しようとしているが、真の責任者はビジナ・イワニシヴィリ(Bidzina Ivanishvili)名誉議長と、ロシア式統治を行う現支配層にある」と述べ、国民にプロパガンダに惑わされないよう呼びかけた。
与党側の主張とEUの対応
「ジョージアの夢」側は18日、シャルヴァ・パプアシヴィリ国会議長(Shalva Papuashvili)が「EU官僚がビザ免除を政治的な脅迫に利用」していると主張。これに同党副議長ニノ・ツィロサニ(Nino Tsilosani)らが同調し「国家主権がビザ免除より優先される」との見解を示していた。
EUは2017年からジョージアにビザ免除を適用してきたが、民主化の後退を理由に2023年9月に制度停止の可能性に言及。2025年秋にはビザ停止メカニズムの強化が予定されており、現政権の姿勢次第で現実味を増している。
日・ジョージア関係への影響懸念
日本政府はジョージアを「黒海に面する親日国」として重視しており、EUとの関係悪化が東側諸国とのバランス外交に影響を与える可能性が注目される。在留日本人約50名の移動の自由にも関わる問題として、今後の展開が注視されている。
ズラビシュヴィリ大統領は最後に「国民は誰が真の欧州離れを推進しているかを見極めるべきだ」と訴え、民主主義の価値を守る重要性を強調した。EUとの関係を巡る政争は、2024年10月の総選挙を前に激化する様相を見せている。
メディアソース: geinfojp.wordpress.com