ジョージア EU非公式会合への招待見送り 候補国地位に懸念浮上

欧州連合（EU）加盟国外相による非公式会合「Gymnich会合」が2024年5月7-8日にポーランドのワルシャワで開催されましたが、ジョージア（グルジア）は招待を受けませんでした。この会合にはEU加盟候補国も参加したものの、2023年に候補国地位を獲得したジョージアは招待名簿から外れました。

EU当局が懸念を示す

欧州委員会副委員長のマルタ・コス（Marta Kos）氏はSNSで「ヨーロッパデーを候補国と共に祝うことに勝る方法はない」と述べつつも、ジョージアの不招待は同国の「民主主義の後退」と「EU価値観へのコミットメント縮小」が要因だと指摘しました。

駐ジョージアEU大使が苦言

パヴェル・ヘルチンスキ（Pavel Herczyński）EU大使は「候補国地位獲得後、進展や政治的意志を示せていない」と批判。「政府が最近採択した法律はEU加盟を遠ざける結果となっている」と述べ、会合不参加がその帰結だと強調しました。

ドイツのペーター・フィッシャー（Peter Fischer）大使も「EUは2023年6月、現状の危機が解決するまでジョージア政府との高官級接触を停止する決定をした」と説明。同国が「正しい道に戻る」ことを期待すると述べました。

ジョージア政府の反発

「二重基準」を非難

与党「ジョージアの夢」のイラクリ・コバヒゼ（Irakli Kobakhidze）首相はEUの対応を「不公平」と非難。「候補国地位取得のために必要なことは全て実施した」と主張しました。同氏はEU官僚が「ディープ・ステート（影の政府）」の指示に従っているとし、ジョージア国民への不当な扱いを批判しました。

国会議長のシャルヴァ・パプアシュヴィリ（Shalva Papuashvili）氏はポーランド政府を「非友好的な措置」と評し、同国が元大統領ミヘイル・サアカシュヴィリ（Mikheil Saakashvili）氏を支持していると主張。「ポーランドはジョージア国民の利益よりサアカシュヴィリ氏との関係を優先している」と述べました。

外相の発言に波紋

マカ・ブチョリシュヴィリ（Maka Botchorishvili）外相は「ジョージアの民主主義が後退しているという主張は不当」と指摘。「二重基準が適用されている」と主張し、フランスやドイツで許容されることがジョージアでは批判される例を挙げました。国民の選択を示す現政権への尊重をEU側に求めました。

背景と今後の展開

EUは2022年6月にジョージアに候補国地位を与えましたが、市民団体「外国代理人」規制法案などの問題で関係が悪化。今回の会合不招待はEU加盟プロセスに懸念が広がっていることを示しています。日本との関係では、ジョージアがEU加盟を目指す中で民主主義と法治主義の維持が国際社会から注目されている点が重要です。

今後の焦点は、ジョージア政府がEUの改革要求にどう対応するか。EU側が求める司法改革やメディアの自由の保障が進まない限り、加盟交渉開始への道は険しくなる見込みです。

メディアソース: civil.ge