ジョージア インクルーシブ教育管理局と外交教育研究所が統合廃止 専門家から懸念の声
特別支援教育の独立部門が戦略部門に吸収
ジョージア教育省は7月1日付で、インクルーシブ教育管理局(ინკლუზიური განათლების სამმართველო)を戦略企画部門に統合する方針を発表した。同局は障害児や特別な支援を必要とする生徒の権利保障を担う専門機関として機能してきたが、省の「効率化」を名目に独立部門としての地位を失う。
統合決定に専門家が警鐘
教育省は今回の決定が「業務効率の向上」につながると説明しているが、教育関係者や人権団体からは強い懸念が表明されている。専門家らは「インクルーシブ教育の専門性が失われる」「現場の対応力が低下する恐れ」と指摘。社会福祉分野に詳しいNGO関係者は「障害児家族の支援体制が後退しかねない」と危機感を募らせている。
外交人材育成機関も廃止へ
同日付で外務省傘下のレヴァン・ミケラゼ外交教育研究所(Levan Mikeladze Diplomatic Training and Research Institute)も機能停止となる。同研究所は30年以上にわたり外交官養成や国際関係研究を担ってきたが、「ジョージアの夢」(ქართული ოცნება)政権のイラクリ・コバヒゼ首相の決定により、業務が外務省本体に移管される。
「効率化」名目の統合に懸念
制度改革をめぐっては「短期的なコスト削減が専門性を損なう」との批判が専門家コミュニティから相次ぐ。政治アナリストのダヴィト・ウスパシュヴィリ氏は「重要な専門機関の廃止が継ぎ接ぎ的な行政改革の一環で進められている」と指摘。元外務次官のニノ・カランタゼ氏は「外交教育の独立性が失われることで、次世代の人材育成に深刻な影響が出る可能性がある」と憂慮する。
今回の組織再編は、ジョージア政府が進める中央集権的な行政改革の一端とみられるが、社会的弱者の権利保障や専門分野の研究教育体制に対する影響が今後注視される。
メディアソース: civil.ge