ジョージア首相が5地域に国家代表を任命 地方選挙前の影響力拡大か
主要地域に新たな国家代表を配置
ジョージア(グルジア)のイラクリ・コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相率いる与党「ジョージアの夢」は5月6日、国内5地域に新たな国家代表(サヘルムツィポ・ルツムネブリ)を任命しました。対象地域はムツヘタ=ムティアネティ(Mtskheta-Mtianeti)、シダ・カルトリ(Shida Kartli)、サムツヘ=ジャヴァヘティ(Samtskhe-Javakheti)、グリア(Guria)、クヴェモ・カルトリ(Kvemo Kartli)の各地方です。
任命された代表者たち
- ムツヘタ=ムティアネティ:アレクサンドレ・ザガシヴィリ(Aleksandre Zaqashvili)元カズベギ市長
- シダ・カルトリ:シモン・グレダニ(Simon Guledani)ゴリ市第一副市長
- サムツヘ=ジャヴァヘティ:ザアル・ゲラシヴィリ(Zaal Gelashvili)ボルジョミ開発庁監視部長
- グリア:ギオルギ・グルジュメリゼ(Giorgi Ghurjumeridze)オズルゲティ市第一副市長
- クヴェモ・カルトリ:レヴァン・ハラバゼ(Levan Kharabadze)元シダ・カルトリ国家代表
地方選挙を睨んだ政治戦略
今回の人事は、10月に予定される地方選挙を前にした与党の影響力強化策と見られています。野党からは「地域開発省の独立組織化が、地方行政への支配を強める手段だ」との批判が上がっています。当初候補とされていた国家保安局元長官のグリゴル・リルアシヴィリ(Grigol Liluashvili)氏の起用が党内対立で撤回され、代わりにカハベル・グレダニ地域開発相が推された経緯も、政権内部の調整を物語っています。
新任代表者との会談
コバヒゼ首相とグレダニ地域開発相は6日、新任の国家代表らと会談を実施。「経験と専門性、誠実さを兼ね備えた指導者が地域開発プロジェクトの成功に不可欠だ」と強調し、各代表者に期待を寄せました。
任命者の経歴分析
ムツヘタ=ムティアネティ代表 ザガシヴィリ氏
2017-2021年にカズベギ市長を務め、官民両セクターでの経験を持つ。地方行政の実務に精通。
シダ・カルトリ代表 グレダニ氏
ゴリ市第一副市長としての経験に加え、複数の地域で国家代表代理を歴任。地方政治のネットワークが強み。
サムツヘ=ジャヴァヘティ代表 ゲラシヴィリ氏
内務省の監察部門でキャリアを積み、治安分野での実績を有する。ボルジョミ地域の観光開発にも関与。
グリア代表 グルジュメリゼ氏
オズルゲティ市で副市長や議会副議長を歴任。地元行政の実務に精通した「地元出身エリート」。
クヴェモ・カルトリ代表 ハラバゼ氏
警察組織で30年以上のキャリアを持つ治安の専門家。複数地域の警察部門トップを経験。
日本との関係における意味合い
ジョージア政府が進める地方分権化政策は、日本の地方創生モデルとの類似点が指摘されています。2023年に両国が外交関係樹立30周年を迎えたことを受け、今後の地方自治分野での協力拡大が期待されます。特に観光資源が豊富なサムツヘ=ジャヴァヘティ地方などで、日本式の地域活性化ノウハウが導入される可能性も注目されます。
今回の人事は、与党が地方選挙で優位を確立するための布石と見る向きが強いものの、経験豊富な実務家を起用した点は、安定した地方行政運営を求める声に応える形となりました。今秋の選挙結果が、コーカサス地域の安定と日・ジョージア関係のさらなる発展に与える影響が注目されます。
メディアソース: civil.ge