ジョージア野党指導者ズラブ・ジャパリゼ拘束に国際社会が懸念表明
政治犯扱いの拘束に国際的非難集中
2024年5月22日、ジョージア(グルジア)の首都トビリシ(Tbilisi)市裁判所は野党「ギルチ – より多くの自由」党の指導者ズラブ・ジャパリゼ(Zurab Japaridze)に対して未決勾留を決定しました。ジャパリゼ氏は与党「ジョージアの夢」主導の議会調査委員会への出頭を拒否したことで保釈金支払い命令に従わなかったことが理由です。
裁判は警察が厳戒態勢を敷く中、メディアの傍聴を認めない異例の状況で実施されました。約15人しか収容できない小法廷にはチェコ・スウェーデン大使館関係者やアムネスティ・インターナショナルの代表がようやく入廷を許可されたものの、米独大使館関係者は「スペース不足」を理由に入場拒否されました。
国際社会からの反応
欧州諸国が緊急声明
- リトアニア外務省:「民主主義の逆行と市民社会への弾圧に深い懸念」
- チェコ外務省:「閉鎖的な法廷手続きは憂慮すべき」
- ノルウェー大使館:「民主主義への攻撃は容認できない」
米国議員らが強く批判
上院外交委員会のジーン・シャヒーン議員は「不当拘束はジョージアの夢政権が民主的機関を壊滅させようとする証拠」と指摘。ヘルシンキ委員会共同議長のジョー・ウィルソン議員は「中国やイラン寄りの姿勢を示す次のステップだ」と警鐘を鳴らしました。
EU機関が結束した非難
欧州議会の複数の議員が「新たなベラルーシ化」を懸念表明。欧州自由民主同盟(ALDE)は共同声明で「政治的反対派を抹殺する意図がある」と断じ、即時釈放を要求しました。
背景にある政治危機
ジョージアでは2024年3月、「外国影響力透明化法」の可決をきっかけに大規模な抗議デモが発生。欧州連合(EU)加盟候補国の地位を危ぶむ声が高まる中、与党が野党締め付けを強化していると批判されています。ジャパリゼ氏が所属する改革連合はEU統合を推進する主要野党連合です。
裁判を主導したビジナ・イヴァニシュヴィリ(Bidzina Ivanishvili)元首相(現与党ジョージアの夢創設者)は、ロシアとの関係改善を進める一方で西側諸国との関係が悪化しています。今回の措置は2024年5月26日の独立記念日を目前にした政治的圧力と見られています。
日本との関係
ジョージアは2015年に日本と自由貿易協定(FTA)を締結。自動車部品やワイン輸出国として経済関係を深めてきましたが、民主的価値の後退が進めば今後の協力関係にも影響が出る可能性が指摘されています。
国際社会は「ジョージアの夢」政権に対し、直ちに政治囚を解放しEU加盟に向けた改革を再開するよう強く求めています。ロシアの影響圏に近づくこの国の動向は、ウクライナ情勢と並んで欧州の安全保障秩序を左右する重要課題となりつつあります。
メディアソース: civil.ge