ジョージア野党指導者ジャパリゼ氏が拘束 与党委員会出席拒否で緊張高まる
事件の経緯と法廷の様子
5月22日、ツビリシ市(Tbilisi)地方裁判所は野党「自由党 – より多くの自由を(Girchi – More Freedom)」の指導者ズラブ・ジャパリゼ氏(Zurab Japaridze)に対し、与党「ジョージアの夢」が主導する議会調査委員会への出頭拒否を理由に勾留を決定しました。裁判所周辺には多数の警察が展開し、カメラクルーは建物内への立ち入りを禁止される異例の事態となりました。
小規模な法廷にはチェコ・スウェーデン大使館関係者やアムネスティ・インターナショナルの代表者が出席を申請しましたが、ドイツや米国の外交官は「スペース不足」を理由に入廷を拒否されています。法廷内では15人程度しか収容できない状況下で審理が行われました。
野党指導者らの反応
サロメ・ズラビシュヴィリ大統領は声明で「警察による法廷への攻撃は司法とは無関係な政治弾圧だ」と非難。ニカ・グヴァラミア氏(Nika Gvaramia)(「変化のための連合」指導者)は「寡頭政治を打倒しなければ民主主義は実現しない」と訴えました。
「強いジョージア」のマムカ・ハザラゼ氏(Mamuka Khazaradze)は「ジャパリゼ氏はロシア式権威主義との闘いの象徴だ」と支持を表明。野党連合のティナ・ボクチャヴァ氏(Tina Bokuchava)は「団結こそが国家救済の道」と連帯を呼びかけました。
与党側の主張
「ジョージアの夢」のミヘイル・カヴァレイシュヴィリ議員(Mikheil Kavelashvili)は「拘束は法的手続きに則った措置」と正当性を強調。同党のダヴィト・マティカシヴィリ議員(David Matikashvili)は「野党が演出する政治的スペクタクル」と批判しました。
市民団体の分析
国際透明性ジョージアは声明で「与党が2025年地方選挙をにらみ野党リーダーを排除する戦略だ」と指摘。同団体は「議会調査委員会が反国家的な目的で設置された」と懸念を表明し、今後の野党政治家へのさらなる弾圧を予測しています。
政治的緊張の背景
今回の事件は欧州連合(EU)加盟を目指すジョージア政府と親ロシア的と指摘される与党の対立が背景にあります。野党側は「ロシア式抑圧政治の始まり」と批判する一方、与党は「法の厳格な適用」を主張。EUや米国の外交的関与も増す中、国内の政治分裂がさらに深まることが懸念されています。
市民社会団体や国際社会の監視が強まる中、司法手続きを巡る攻防はジョージアの民主主義の健全性を示す試金石となりそうです。今後の捜査の展開と国際社会の反応が注目を集めています。
メディアソース: civil.ge