ジョージア野党リーダー・ニカ・メリアが保釈金期限前に突如逮捕 裁判前の法的混乱に注目

法的手続きを巡る混迷

野党連合「変革のための連合（Koalitsia Tsniliastvis）」の指導者の1人であるニカ・メリア（Nika Melia）氏が5月29日、突如として拘束された。同日付の裁判開始を控えたタイミングでの逮捕に、弁護団は強い異議を唱えている。

メリア氏は与党「ジョージアの夢（Georgian Dream）」が設置した議会調査委員会への出頭拒否を理由に、刑法349条（公務執行妨害）違反で起訴されている。4月29日に首都トビリシ（Tbilisi）市裁判所が科した保釈金500万ラリ（約260万円）の支払期限は5月30日までとされていたが、同氏は期限前日に拘束された。

弁護団が違法性を主張

メリア氏の弁護人ギオルギ・コンタクハシュヴィリ（Giorgi Kondakhashvili）氏は、「保釈金期限が切れていない上に、裁判所が拘束措置の変更を決定していない状況での逮捕は法的根拠を欠く」と断言。警察が車両を強制停止させ、実力行使で連行した経緯を明らかにした。

現在メリア氏はディグミ（Dighomi）拘置所に収容されており、勾留理由として内務省は「警察官に対する侮辱行為」を定める行政法173条違反を挙げている。これに対し野党側は「政治的動機に基づく弾圧」と強く批判している。

国際社会の反応と国内情勢

米下院議員ジョー・ウィルソン（Joe Wilson）氏はSNSで「反米的な『ジョージアの夢』政権が野党指導者を不当に逮捕している」と非難。中国への接近を図る政治的意図があると指摘し、制裁措置の必要性を訴えた。

同様の刑事告発は「変革のための連合」のニカ・グヴァラミア（Nika Gvaramia）氏や、5月22日に保釈金支払い拒否で拘束されたズラブ・ジャパリゼ（Zurab Japaridze）氏ら野党政治家にも及んでいる。

今後の展開に注目

この事態はジョージア政界における与野党対立が新たな局面を迎えたことを示している。欧米諸国が懸念する民主主義の後退とロシア・中国への地政学的傾斜という二重の課題を抱える中、今後の司法判断と国際社会の対応が焦点となっている。

メディアソース: civil.ge