ジョージア野党「外務省再編は親欧州派外交官250人解雇の口実」と抗議 EU加盟延期方針の波紋広がる
「ジョージアの欧州統合」専門部署廃止に批判
野党連合「強いジョージア(Dzlieri Sakartvelo)」所属のグリゴル・ゲゲリア(Grigol Gegelia)議員が7月1日、外務省の組織再編に伴い約250人の親欧州派外交官が解雇される計画を明らかにしました。政府与党「ジョージアの夢(Kartuli Otsneba)」が主導する外務省改革の一環として、欧州統合総局の廃止が決定されたことを受けた措置です。
EU統合支持の公務員が標的に
ゲゲリア議員によると、解雇対象者の多くは2023年末にEU加盟プロセス継続を求める共同声明に署名した職員。当時、野党勢力や市民団体と連携して政府の外交方針転換に抗議した経緯があります。「『ジョージアの夢』政権はこれで正式に欧州統合を優先事項から外した」と非難しました。
リトアニアのジョージア大使館元書記官ジョルギ・コバヒゼ(Giorgi Kobakhidze)氏もFacebookで解雇通告を受けた事実を公表。EU統合支持の請願書に署名したことが理由とみられています。
政府側「EU関連部署は強化」と反論
外務省のマカ・ボチョリシュヴィリ(Maka Bochorishvili)大臣は内部文書で「欧州総局を廃止するという情報は不正確」と反駁。再編後は欧州政策総局を新設し、EU統合部門を統合すると説明しています。併せて、EU加盟に向けた4つの新部署を設置し、「外交機能を強化する」と強調しました。
野党「外交機能の破壊行為」と非難
これに対しゲゲリア議員は「外務省職員の30-40%に当たる人員削減は、欧州志向の外交官を排除する政治的粛清」と断言。2023年11月に500人以上の公務員がEU加盟延期方針に反対声明を出した後、政府が報復措置を開始したと指摘します。
国際社会も懸念 日本との関係に影響も
現地NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル・ジョージア」の調査では、2024年12月以降に約700人の公務員が政治的理由で解雇されました。国防省でも同様の動きが報告されており、国際社会からは民主的プロセスの後退を懸念する声が上がっています。
ジョージアは2014年から日本と戦略的パートナーシップを結び、両国間貿易額は約60億円(2024年7月現在の為替レート1ラリ=約52円で計算)に拡大。今回の人事異動が親日派外交官に波及すれば、経済・文化交流に影響を及ぼす可能性もあります。
過去3ヵ月の主な動き
- 2024年11月29日:政府がEU加盟プロセスの2028年までの凍結を発表
- 2024年12月1日:複数省庁の職員が抗議声明を発表
- 2024年12月2日:当局が「公務員の自主的な退職増加」と発表
メディアソース: civil.ge