ジョージア独立記念日2024：民主化の危機と抗議拡大の模様

民主主義の岐路に立つ独立記念日

5月26日、ジョージア（グルジア）は最初の民主共和国宣言107周年および独立回復34周年を迎えた。本年は「ジョージアの夢」政権下で国際的孤立が深まり、権威主義的傾向が強まる中、欧州統合を求める反政府デモが連続180日に及ぶ異例の事態となっている。

街を埋める抗議のシンボル

首都ティビリシ（Tbilisi）では、ルスタヴェリ大通りを中心に欧州統合支持のバナーが商店や大学など至る所に掲示された。サロメ・ズラビシュヴィリ大統領が現地時間21時に国民に向けて演説する一方、野党支持者らは共和国広場に集結。1919年の独立記念式典を再現した女性デモ行進が歴史的建造物前で展開された。

主要政治家のメッセージ

カヴェラシュヴィリ大統領の国家観

「独立宣言はジョージア国民が自らの運命を決定する意志の現れ」と強調し、「祖国」「言語」「信仰」の3要素の保護を訴えた。欧州統合に関しては「我々の先祖が築いた価値観の継承」と位置付けつつも、「外国勢力に依存せず自ら未来を決定する」と独自路線を示唆した。

コバヒゼ首相の統合構想

「過去2世紀で最も強い独立を維持している」と主張し、経済発展とアブハジア・南オセチア地域の統合を謳った。野党勢力を「主権阻害勢力」と非難する一方、ソ連時代の分断政策を批判し国民団結を呼びかけた。

歴史を継承する市民の抵抗

デモ参加者は1919年の女性体操選手団を模した衣装で市内を行進。19世紀の民族運動家イルヤ・チャフチャヴァゼの思想を引用したプラカードが目立ち、SNSでは# GeorgianDreamResignがトレンド入りする盛り上がりを見せた。

日本との関係性

ジョージアは2015年に日本とEPA（経済連携協定）を締結。ワイン輸出量が年平均15%増加するなど経済関係が深まっており、民主化支援ではJICAが市民社会強化プログラムを実施中だ。現政権の政策転換が日・ジョージア関係に与える影響も注視されている。

混迷深まる政治情勢

EUは4月の報告書で司法改革の後退を指摘、加盟候補国の地位停止を示唆。米国務省は民主的プロセスの逆行に懸念表明するなど、国際的圧力が高まる中、国民投票実施を求める野党と強硬姿勢を続ける与党の対立が先鋭化している。

（執筆時点の為替レート：1ジョージア・ラリ＝52円）

メディアソース: civil.ge