ジョージア民主化の岐路 エストニア外相がEU統合の課題とロシア脅威を警告
100日を超える抗議のさなか エストニア外相がジョージア情勢を緊急分析
ジョージア(Georgia/საქართველო)で政権側による人権抑圧への抗議活動が100日以上続く中、エストニア外相マルグス・ツァフクナ(Margus Tsahkna)氏が現地メディアのインタビューに応じ、民主化支援の必要性とロシア脅威への警鐘を鳴らした。
民主化逆行への強い懸念
ツァフクナ外相は「ジョージア政府が市民への暴力を行使し、メディアを弾圧し、EU加盟候補国の立場を踏みにじっている」と批判。同国外務省が4月にイラクリ・コバヒゼ首相(Irakli Kobakhidze)とビジナ・イワニシビリ党首(Bidzina Ivanishvili)を含む与党「ジョージアの夢」関係者に制裁を課した背景を説明した。
「抑圧者が処罰されない状況は免責を生み、さらなる暴力を招く。ジョージア市民社会と自由なメディアへの支援が不可欠だ」
EU統合とロシアの影
ジョージア政府内から聞かれる「ロシアとの交渉推進論」については強い懸念を表明。「プーチン政権との妥協は民主主義の未来を危うくする」と指摘。2008年の南オセチア紛争を引き合いに「ロシアの隣国への干渉は全欧州の安全保障リスクだ」と述べた。
経済影響と観光支援
現政権下での法の支配の後退が外国投資に悪影響を与えていると指摘。政府との開発協力プロジェクトが停止状態にあると明かした一方で、「ジョージアは依然としてエストニア人観光客に人気の地」と国民レベルでの絆を強調した。
ウクライナ支援とNATOの役割
ウクライナへの軍事的支援拡大について「ロシアの復讐主義を防ぐための長期的な安全保障枠組みが必要」と提案。NATO加盟国としての立場から「同盟国間の結束強化が抑止力になる」と述べ、バルト三国を含む前線国家の安全保障における米国の重要性を強調した。
最後に抗議参加者へ「エストニアは民主化を求めるジョージア市民と共にある」と連帯を表明。旧ソ連支配からの脱却を経験した国として「自由を求める闘いは決して無駄にならない」とのメッセージを送った。
(注)ラリ/円為替レート:1ラリ=約52円(2023年8月現在)
メディアソース: civil.ge