ジョージア政府が英国人ジャーナリスト入国拒否 RSFが政治的圧力と非難
ジョージア入国拒否の背景
2022年からジョージア(グルジア)に在住していた英国人ジャーナリストのウィル・ニール(Will Neal)氏が、イギリスとEU諸国からの帰国時に入国を拒否されたと、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」が7月1日に発表しました。RSFはこの措置を「恣意的かつ政治的な決定」と非難し、撤回を求めています。
ロシア系オリガルヒ関連の調査が原因か
問題の発端は、ニール氏が2025年3月に発表した調査報道にあります。同記事ではイギリスの投資会社「フンネウェル・パートナーズ(Hunnewell Partners)」と、EUが制裁を科しているロシアのオリガルヒロマン・アブラモヴィッチ(Roman Abramovich)氏のビジネス関係を詳細に暴露。これに対し政府与党「ジョージアの夢」幹部や政府系メディアが「ソロスのエージェント」とレッテル貼りするキャンペーンを展開しました。
RSFの批判と国際社会の反応
RSF東欧・中央アジア局長のジャン・カヴァリエ(Jean Cavalie)氏は、「この決定は外国ジャーナリストへの弾圧が新段階に入ったことを示す」と指摘。イギリス政府に対し「自国民の権利侵害についてジョージア政府に説明を求めるべき」と訴えています。
個人所持品も取り戻せない現状
現在ニール氏はアルメニアの首都エレバン(Yerevan)に足止めされており、トビリシ(Tbilisi)に残した私物へのアクセスも断たれています。RSFによると、入国拒否の公式理由は「パスポート不備」としており、過去1年間に複数回の出入国歴があるにも関わらず突然の措置となった点が問題視されています。
近年相次ぐ外国人排除の動き
ジョージア政府はここ数年、欧米人ジャーナリストや活動家の入国拒否を相次いで実施しています。直近では5月21日にEU代表部職員が入国を拒否される事案が発生。政府は「技術的問題」と説明していますが、野党からは「欧米への敵対的なレトリックが強まっている」との批判が上がっています。
注目される地政学的影響
今回の事件は、EU加盟申請中のジョージアが掲げる「欧州統合路線」との整合性に疑問を投げかけています。欧州委員会の5月報告書では、ジョージアのメディア環境が「政治介入で悪化」と指摘されており、今後の対応が国際的な監視対象となる可能性が高まっています。
メディアソース: civil.ge