ジョージア情報機関の組織再編が進行 国家安保局傘下へ移管へ
法案の概要と施行スケジュール
ジョージア共和国(საქატველო)の情報機関が大規模な組織再編を控えています。現在首相直属の「ジョージア情報局(SIS)」が、国家安全保障省傘下の「国家情報庁」に改組される法案が議会に提出されました。与党「ジョージアの夢」が単独提出したこの法案は26の関連法改正を含み、7月1日からの施行が見込まれています。
統合の背景と国際的な前例
政府は「諜報活動と国家安全保障の機能が密接に関連している」と説明。EUやNATO加盟国であるオーストリア、トルコ、カナダなど8カ国で同様の統合モデルが採用されていることを根拠に、組織強化による効率性向上を訴えています。現行法で規定されている政治・経済・軍事分野の情報収集や国際テロ対策などの任務は維持されます。
人事権の移管に懸念の声
注目されるのは人事権の変更です。情報機関長官と副長官の任免権が新たに国家安全保障局(SUS)に移管されます。現在SUSを率いるのはアンリ・オハナシヴィリ局長(Anri Onhanashvili)で、副長官のイラクリ・ベライア(Irakli Beraya)が2024年から情報局長を兼務しています。野党や専門家からは「政権の私物化」との批判が噴出しています。
専門家と野党の厳しい指摘
国際関係専門家のズラブ・バティアシヴィリ(Zurab Batiashvili)氏は「元々ロシアの脅威に対抗するため設立された機関が、親露政権下で逆の任務を負わされる危険性がある」と警鐘。野党「ガハリア・フォー・ジョージア」のテオナ・アクバルディア(Teona Akuabardia)議員は「国家安保ではなくビジナ・イヴァニシヴィリ(Bidzina Ivanishvili、与党「ジョージアの夢」創設者)政権の維持装置になりかねない」と強く非難しています。
日本との関係への影響懸念
ジョージアは日本の主要な支援受入国の一つで、2023年の二国間貿易額は約32億円(現レート610万ラリ)に達しています。情報機関の独立性喪失が投資環境や民主化プロセスに与える影響が懸念され、今後の日ジョージア関係にも注視が必要です。
この組織改編を巡る議論は、ロシアへの経済依存深化が問題視される中、西側とのバランスを取るジョージアの地政学的立場を浮き彫りにしています。議会審議の行方と国際社会の反応がカギとなりそうです。
メディアソース: civil.ge