ジョージア大統領、EUビザ免除巡り与党を批判 国民分断の懸念指摘
ジョージア与党の「偽の二項対立」を非難
サロメ・ズラビシュヴィリ大統領(Salome Zurabishvili)は4月23日、「ジョージアの夢」与党幹部の発言を強く非難した。政府関係者がEU(欧州連合)とのビザ免除制度を国家の主権と対立させる主張を展開し、国民の士気をくじこうとしていると批判した。与党側はEUがビザ免除停止の可能性をちらつかせていると主張し、国民に「ビザ自由化か主権か」という誤った選択を迫っているという。
発言の背景とズラビシュヴィリ氏の指摘
ズラビシュヴィリ大統領は、この動きが2024年11月28日にイラクリ・コバヒゼ首相(Irakli Kobakhidze)が「2028年までのEU統合プロセス凍結」を表明した流れを継続するものだと指摘。与党が国民の不安を煽ることで、欧州との距離を広げようとしていると述べた。「このキャンペーンはブリュッセルからではなく、ロシア式統治を行う政権から発信されている」と強調し、国民にプロパガンダに陥らないよう呼びかけた。
与党幹部の対EU発言が激化
議会のシャルヴァ・パプアシュヴィリ議長(Shalva Papuashvili)は4月18日、EUがビザ免除を「政治的圧力の道具」として使用していると主張。副議長のニノ・ツィロサニ(Nino Tsilosani)やソザル・スバリ議員(Sozar Subari)も「国家主権がビザ免除より重要」と同調した。
EU側の懸念と制度停止の可能性
ジョージア国民は2017年からEU圏内でのビザ免除を享受してきたが、EUは近年の民主主義後退を問題視。2024年9月には欧州委員会がビザ免除の一時停止を含む「全ての選択肢を検討」すると表明している。2025年秋にはビザ停止メカニズムが強化される見込みで、制度廃止の現実味が増している。
日ジョージア関係への影響懸念
ズラビシュヴィリ大統領は「与党がロシア式の分断戦術を模倣している」と警告。EU加盟を目指す日本政府にとっても、ジョージアの欧州離れが安全保障上の懸念材料となる可能性がある。同国は南コーカサス地域の安定に向け、欧州と緊密な連携を維持することが求められている。
政治評論家のアーチル・ティラゼ氏(Archil Tiraze)は「ビザ免除問題は国内政治の道具化されており、欧州統合の本質的な議論が置き去りにされている」と指摘。EUとの関係悪化が続けば、ジョージアの国際社会での孤立が深まるリスクがあると警鐘を鳴らしている。
メディアソース: geinfojp.wordpress.com