ジョージア国家保安庁、2024年報告書で西側の偽情報と与党粛清計画を警告
地政学的リスクと国内安定への脅威
ジョージア国家保安庁(SUSI)が発表した2024年報告書は、ロシアによるアブハジア(Abkhazia)およびツヒンヴァリ(Tskhinvali)地域の占領を最大の安全保障課題と指摘。ハイブリッド戦争の手段として占領地が悪用されている現状を強調しました。
ロシアの積極的な関与
同報告書は、両地域でのロシア軍基地の増強や年間数十回に及ぶ軍事訓練、いわゆる「国境線」の不法設置(ボーダリゼーション)が継続していると明らかにしました。特に注目されるのはビチヴィンタ(Bichvinta)保養地のロシアへの違法譲渡や、アパートメント法・投資法を利用した経済的支配強化策です。
内部撹乱工作の実態
2024年は12月の大統領選挙を標的としたクーデター未遂が複数計画され、与党関係者の暗殺(「リキヴィダーツィア」)が企てられていたと報告。組織的デモ隊が警官隊との衝突を仕掛け、犠牲者を出すことで事態を激化させるシナリオが想定されていました。
西側発の偽情報作戦
SUSIは「特定の西側諸国」が関与する大規模な偽情報キャンペーンを指摘。EU統合プロセスの遅滞を狙ったAI活用の偽動画拡散や、若年層を対象にした文化教育プログラムを通じた思想誘導が確認されました。「ジョージアの夢」政権はこれらを「民主主義的価値観の破壊工作」と位置付けています。
経済・教育分野の浸透工作
占領地域ではロシア語教育の強制が加速。ガリ(Gali)・アハルゴリ(Akhalgori)地区に設置された「開放教育センター」では、教師や生徒に対するロシア式教育が実施されています。ツヒンヴァリ地域ではロシア資本のアラニア投資銀行進出が、グロム(Grom)村ではロシア企業による油田調査が進行中です。
懸念される経済依存
2024年のツヒンヴァリ「予算」約8,780万ドルの79.5%がロシア資金で賄われ、アブハジアでも23.5%がロシア援助に依存。日本円換算(1ラリ=52円)で約145億円に上る資金がロス化政策を支えています。
国際社会への警鐘
報告書は民族ジョージア人への差別実態を国際機関のアクセス困難さと関連付け、第三国の監視役として日本を含む国際社会の関与必要性を暗に訴えています。在日ジョージア人コミュニティ(約300人)も、祖国の領土保全に向けた情報発信の重要性を強調しています。
SUSIは今後もサイバー防衛の強化と欧州統合路線の堅持を表明。ジョージア政府はこれらの脅威に対し、法令改正(国家保安法改定案提出予定)や国際連携の拡充で対応する方針です。
メディアソース: civil.ge