ジョージア反対派ニカ・メリア逮捕 行政違反と政治弾圧に国内外から反発
急転直下の拘束と政府の主張
ジョージア(Georgia)の野党「新党(Akhali)」共同議長で「変革への連合(Koalitsia Ts’vlilebt’vis)」指導者の1人であるニコロズ・メリア(Nikoloz Melia)氏が5月29日、裁判所出廷を1日後に控え拘束された。内務省は警察官に対する侮辱行為(行政法違反)を理由に挙げたが、野党はこれを「拉致同然の政治弾圧」と非難している。
刑事罰の背景と法廷闘争
メリア氏にはジョージア刑法349条(議会委員会召喚拒否)に基づく刑事事件も係属中で、最大1年の禁錮刑が科される可能性がある。4月29日にトビリシ(Tbilisi)市裁判所が命じた50,000ラリ(約260万円)の保釈金を拒否し、法廷出廷を拒んできた経緯がある。同氏は今回の刑事事件で勾留が懸念されており、先月同様の罪状で拘束されたズラブ・ジャパーリゼ(Zurab Japaridze)元議員の事例が参照されている。
国内外からの激しい反発
国内の反政府勢力の声
「抵抗プラットフォーム(Ts’inaaghmdegobis Platforma)」は「メリア氏拘束はロシア式政権の恐怖心の表れ。政権の脆弱性と犯罪的本質を露呈した」と声明で強く批判。与党「ジョージアの夢(Kartuli Ots’neba)」に対し「国家を中国に売却するため野党封じ込めを強行している」と糾弾した。
中道野党「レロ・強者ジョージア(Lelo-Dzlieri Sakartvelo)」も「ビジネス大富豪ビジタル・イワニシヴィリ(Bidzina Ivanishvili)氏が実権を握る政権がシステム危機に陥っている証拠」と指摘し、民主勢力への連帯を表明した。
国際社会の緊急対応要請
米下院のジョー・ウィルソン(Joe Wilson)議員は「反米政権が中国寄り政策を進めるため野党指導者を次々摘発」とツイートし制裁強化を提言。リトアニア国会議員ラサ・ユクネヴィチェネ(Rasa Juknevičienė)氏は「EU加盟国は速やかな対応を」と危機感を表明した。
エストニア国会外交委員長マルコ・ミケルソン(Marko Mihkelson)氏は「ロシア・ベラルーシ型独裁政権が野党一掃を企てている」と警告し、EUに対しビザ自由化制度の停止検討を要請。ジョージア政府が「ロシア帝国の拡大野心」に荷担しているとの強い懸念を示した。
政治情勢の行方
専門家は今回の拘束劇を、同国が10月総選挙を控える中で民主主義後退が加速している兆候と分析。EUの2023年12月加盟候補国認定後も改革停滞が指摘される中、国際社会の監視が強まっている状況だ。推定資産50億ドルを持つ「影の統治者」イワニシヴィリ氏の影響力拡大に伴い、欧米との関係悪化が避けられない情勢となっている。
メディアソース: civil.ge