ジョージア元野党指導者ジャパリゼ氏逮捕に国際社会が懸念表明 裁判の経緯と欧米の反応
裁判の背景と非公開手続き
5月22日、トビリシ市裁判所は野党連合「ギルチ・メティ・タヴィスフレビス(より多くの自由を)」の指導者ズラブ・ジャパリゼ(Zurab Japaridze)氏に対し、与党「ジョージアの夢」が主導する議会調査委員会への不出頭を理由に拘置を命じた。裁判は厳戒態勢の中、15人程度しか収容できない小法廷で非公開で行われた。ドイツや米国の外交官を含む複数の関係者が傍聴を試みたが、ほとんどの報道陣とともに法廷への入室を拒否された。
欧州からの強い批判
スウェーデンのアナ・リーベルイ大使は「民主主義への脅威となる弾圧法の制定と相まって、オピニオンリーダーへの不当逮捕はEUの価値観に反する」と声明。リトアニア外務省も「民主主義の後退と根拠のない拘束は危険な流れだ」と非難した。欧州議会議員団は「プーチンの影響下にある現政権が親欧米派野党の排除を企てている」と断じ、即時釈放を求めた。
米国政府関係者の反応
米ヘルシンキ委員会共同議長のジョー・ウィルソン下院議員は「反米路線を強めるイワニシヴィリ政権が野党封じ込めを加速させている」と批判。共和党のジェイン・シャヒーン上院議員は「議会はジョージア国民と連帯すべきだ」と述べ、39歳の若手政治家だったジャパリゼ氏が政治犯として扱われている現状を憂慮した。
英国と北欧諸国の対応
英国大使館は「報道の自由と複数政党制の侵害」を指摘し、元ラリ(約52円)相場を引き合いに「経済制裁の可能性」に言及。ノルウェーのベルグリオット・ホヴランド大使は「ジョージアが重大な分岐点にある」と警告、チェコ外務省も「基本的人権の尊重」を求める声明を発表した。
日本との関係性に照らして
ジョージアは2023年に日本と国交樹立30周年を迎えた親日国家。日本政府はこれまで同国の民主化支援に1,400億円以上の円借款を供与してきた。アナリストの大井孝は「黒海に面する地政学的要衝で起きている民主的後退は、日欧共同の外交戦略に影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。
※本記事の情報は2024年5月23日午前11時時点のものです
メディアソース: civil.ge