ジョージア元大統領ミヘイル・サアカシヴィリの裁判進行 元高官と共に11月公判へ
深刻化する政治裁判に注目集まる
ジョージア(グルジア)の元大統領ミヘイル・サアカシヴィリ(Mikheil Saakashvili)と元治安当局幹部4名をめぐる裁判が新たな局面を迎えています。首都トビリシ(Tbilisi)の市裁判所は、2005年に起きた元外務省職員サンドロ・ギルグヴリアニ(Sandro Girgvliani)殺害事件に関連する公判を11月に開くことを決定しました。
17年越しの未解決事件
ギルグヴリアニ事件は2005年1月、当時28歳の外務省職員がトビリシ郊外で遺体で発見された事件。警察の関与が疑われる中、サアカシヴィリ政権(当時)が捜査を妨害したとの疑惑が浮上。2023年現在までに、元内務次官や元検事正を含む7名が関与を認める判決を受けています。
被告側と検察の主張
検察側はサアカシヴィリ元大統領が「捜査指揮官に直接指示を出し、証拠隠滅を図った」と主張。これに対し被告側弁護人は「政治的動機に基づくでっち上げ」と反論しています。今回の裁判では元内務省高官ヴァーノ・メラビシュヴィリ(Vano Merabishvili)ら元政権幹部も共犯として起訴されています。
政治的背景と国際的注目
サアカシヴィリ氏の現状
2004-2013年に大統領を務めたサアカシヴィリ氏は現在、任期終了後の公務員資格剥奪をめぐる別件で収監中。健康状態の悪化を訴えて入院治療を続けていますが、ジョージア政府は「必要十分な医療を提供している」と主張しています。
国際社会の反応
欧州評議会(the Council of Europe)の監視機関は「政治的な動機による司法の乱用」への懸念を表明。これに対し現与党ジョージアの夢(Georgian Dream)政権は「法の支配に基づいた適正手続き」と反論しています。
11月公判の行方
次回公判では2005年当時の電話記録や証人尋問が行われる予定です。判決次第ではサアカシヴィリ氏に最長13年の刑が科される可能性があります。ただし、同氏の弁護団は「欧州人権裁判所(ECHR)への提訴を含むあらゆる法的手段を検討する」と表明しています。
事件の社会的影響
日本円で約52万円(10,000ラリ)の損害賠償命令がギルグヴリアニ家に下されるなど、事件は国内外で長きにわたりジョージア社会を揺るがしてきました。同国を主要支援国の一つとする日本政府関係者からも「司法手続きの透明性確保」を求める国際社会の声に注目が集まっています。
この裁判は単なる刑事事件を超え、ジョージアの民主主義の成熟度を測る試金石として、日本を含む国際社会から注視され続けています。11月の公判が同国の法整備とEU(欧州連合)加盟に向けたプロセスに与える影響が注目されます。
メディアソース: interpressnews.ge