ジョージア与党のEU関係悪化懸念 民主主義後退に市民抗議の動き
EU統合から後退する経済関係
「ジョージアの夢」政権(ქართული ოცნება)の権威主義的傾向が強まる中、同国とEUの経済関係が急速に悪化しています。2014年に締結された深・広域自由貿易協定(DCFTA)は、ジョージア企業にEU市場へのアクセスを保証する重要枠組みでした。しかし2024年のEU向け輸出割合は2015年の28.3%から8.7%に急減。この10年間でEU貿易依存度が3分の1以下に低下しています。
ロシア・中国シフトの実態
政府与党に近い経済主体がロシアや中国との取引を拡大する一方で、EU市場を標的とする現地企業は貿易障壁や政策の不透明性に苦戦。かつてEU統合支持派だった大手企業も沈黙を守り、政権の選択に従属する姿勢を見せています。
民主主義原則からの逸脱
EUとの連合協定第2条は「欧州価値の共有」を、第4条は「民主的機関の強化」を、第13条は「メディアの自由と司法アクセス」を義務付けています。しかし現政権の対応はこれらの規定に明らかに反し:
- 司法の政治利用が常態化
- 汚職対策機関が形骸化
- 野党・市民団体への締め付け強化
これら民主主義の後退が、協定第427条に基づく協定破棄の正当化材料となる危険性が高まっています。
市民社会の抵抗とEUの対応
トビリシ(თბილისი)を中心に、EU旗を掲げた市民デモが連日続いています。「民主主義の道筋を外れるな」と訴える若者を中心に、抗議参加者は政権の路線転換を強く警戒。EU側にはこれ以上の状況悪化を防ぐため、具体的な措置が求められています。
EUが取り得る手段
- 法の支配に関する年次報告書へのジョージア掲載
- 査証免除制度の停止警告
- 大統領令改正要求
2015年にアイスランドがEU加盟申請を取り下げた前例を参考に、ジョージアが同様の選択肢を取る可能性も指摘されています。しかし同国の場合、民主主義基盤が脆弱なため、離脱は深刻な社会的影響を及ぼすと専門家は警告します。
(翻訳:GEOpolitics誌英語版全文はこちら)
現在の懸念は、EU側が対策を講じる前にジョージアが協定破棄を宣言するシナリオ。民主主義を守る市民の動きと国際社会の監視が、政権の暴走を食い止める最後の歯止めとなる局面を迎えています。
メディアソース: civil.ge