ジョージア与党「ジョージアの夢」EU関係悪化の懸念 民主主義維持へ市民抗議
経済協力の空洞化が進む現実
ジョージア(საქართველო、Sakartvelo)与党「ジョージアの夢」政権が進める権威主義的な政策は、EU(欧州連合)との関係を悪化させている。2014年に締結された深遠かつ包括的自由貿易協定(DCFTA)はかつて経済成長の柱とされたが、EU向け輸出比率は2015年の28.3%から2024年には8.7%に急減。政府系企業がロシアや中国との関係を深める中、EU市場への関心が薄れている。
民主主義原則の後退が条約違反に
EUとの連合協定第2条は「欧州的価値観の共有」、第4条は「民主的制度の強化」を明記している。しかし現在、司法の政治利用やメディア統制が深刻化。野党関係者によれば「協定の320か所で違反状態」が指摘され、欧州委員会の2023年報告書でも「7つの優先課題の達成進まず」と批判されている。
「脱EU」シナリオの現実味
2015年にアイスランドがEU加盟申請を取り下げた前例を踏まえ、専門家は「ジョージアの夢」が同様の決断をする可能性を警告。親ロシア派のイヴァニシヴィリ議長(元首相)の影響力拡大と相まって、EU離れが加速する懸念が強まっている。
市民社会の抵抗とEUの対応
首都トビリシ(თბილისი、Tbilisi)では3月から反政府デモが継続。「我々は欧州の未来を選ぶ」と叫ぶ市民らは、議会周辺でEU旗を掲げて抗議。これに対しEUは、5月21日に発表した報告書で「選挙法改正が不公平」と批判し、ビザ免除制度の停止も検討している。
分水嶺に立つ国家の選択
政治学者のヴァノ・チヒクヴァゼ(Vano Chkhikvadze)氏は「EUは単なる経済プロジェクトではなく、価値観共同体への参加だ」と指摘。政権が民主主義原則をないがしろにする限り、12月の総選挙を経ても加盟交渉開始は困難との見方が支配的だ。
若者を中心とする市民運動はSNSで#YesEuropeanGeorgiaタグを拡散。政府が掲げる「非同盟政策」に対し、EU加盟を求める声が草の根レベルで広がっている。混迷する政治情勢の中、国家の針路を巡る攻防は正念場を迎えている。
メディアソース: civil.ge