ジョージア与党「ジョージアの夢」調査委員会の正当性に疑義
ジョージア若手法律家協会(SAIA)は与党「ジョージアの夢(Georgian Dream)」の議会調査委員会に対し、野党関係者への刑事訴追がジョージアの法令に抵触するとの異議を表明しました。元国防相イラクリ・オクロシヴィリ(Irakli Okruashvili)氏を含む野党関係者への捜査について、委員会の正統性と活動内容に重大な疑問を投げかけています。
調査委員会の法的正当性に疑念
SAIAは声明で「調査委員会の活動は複数の点で問題があり、立法府全体の正当性が疑問視される状況下で、さらに疑義を深めている」と批判。同委員会が「特定政党の排除を目的としており、国家公務員による犯罪の真の捜査ではない」と指摘しました。
調査開始を定めた「解釈カード」が議会規程の要件を満たしていない点も問題視。同協会は「捜査対象事項の具体的な根拠や、聴取対象者・資料の明確な提示がない」と説明しています。
調査委員会の構成についても、「野党グループの参加は形式的なもので、実質的な関与とは言えない」とし、与党優位の体制が公平性を損なっていると主張。与党が選挙リストで選出された議員のみで構成されていると指摘しました。
委員会前不出頭の法的扱いを問題視
複数の野党指導者が委員会の招集を拒否したことを受けた手続きにも疑義を表明。SAIAは「不出頭を刑事犯罪とみなすべきではない」とし、2014年刑法349条の適用が過剰な権力行使にあたると批判しています。
同協会は「疑わしきは自由の利益に(In dubio pro libertate)」という法原則を尊重すべきと主張。現在の捜査が「社会的危険性を伴わない軽犯罪」と位置付けられる事例に過剰な刑事罰を適用しているとしています。
さらに検察庁に対し「組織的な拷問事件の主要関係者を長期にわたり捜査対象としない姿勢」を厳しく非難。司法機関の政治利用が常態化している現状に懸念を示しました。
オクロシヴィリ氏の勾留要件変更に政治的背景
ティビリシ市裁判所が5月14日、オクロシヴィリ元国防相の保釈金(20,000ラリ)を勾留に切り替えた決定を批判。SAIAは「比例原則と法的合理性に基づく判断が欠如している」と主張しました。
同氏は野党「統一国民運動」の代表で、委員会不出頭を理由に起訴された人物。SAIAは「オクロシヴィリ氏が裁判所に対し保釈条件を順守する意思を明確に表明していたにも関わらず、より厳しい措置が要請された」とプロセスに問題があったと指摘しています。
複数の野党指導者が委員会への協力を拒否する動きを強める中、与党側の「国民運動政権時代の調査委員会」委員長を務めた元首相ギオルギ・ガハリア(Giorgi Gakharia)氏のみが証言に応じたと報じられています。
この司法判断を巡り、SAIAは「検察が政治動機による処罰を目的としていることを示す事例」と総括。司法制度の独立性確保がジョージア民主主義の重要な課題であると強調しました。
メディアソース: civil.ge