ジョージア与党「ジョージアの夢」創設13周年 成果強調するもEU加盟遅延と人権批判
創立の背景と自己評価
ジョージア(Georgia)の与党「ジョージアの夢(Georgian Dream)」が4月21日、創設13周年を迎えた。同党は声明文で「不可逆的な発展」と民主化の進展を強調したが、野党や国際社会からは人権状況の悪化やEU加盟プロセスの停滞が批判されている。
2012年にビジナ・イヴァニシヴィリ(Bidzina Ivanishvili)氏が設立した同党は、声明で「血なまぐさい独裁政権との決定的な戦い」を開始した経緯を回想。政権獲得後は「民主主義と法の支配、基本的人権の確立に成功した」と自己評価している。
経済指標と社会政策の成果
経済面では過去4年間の平均成長率9.7%を強調。2012年以降のGDP3倍増、貧困率の3分の1減少(70万人が貧困脱却)、通貨ラリの安定(対外債務比率60%→36.4%)を世界銀行データを引用して主張した。
社会政策ではユニバーサル・ヘルスケアの導入や脆弱層支援の拡大を評価。「福祉政策の政治利用を阻止した」とし、旧政権との違いをアピールしている。
EU加盟プロセスを巡る論争
欧州統合に関しては、EUとの連合協定やビザ免除、2022年のEU候補国地位獲得を成果として列挙。一方で「欧州の官僚機構が非民主的勢力の復権を画策している」と反発し、「2030年までに加盟要件を満たす」と宣言した。
地政学的リスクへの対応では「過去3年間、第2戦線化の危機に直面したが、圧力に屈さず国家の破滅を防いだ」と主張。ウクライナ戦争を念頭に「いかなる脅迫もジョージアを戦争に巻き込ませない」と述べた。
批判と今後の展望
野党や人権団体からは、最近成立した反デモ規制法をはじめ、表現の自由の制限やジャーナリストへの弾圧が問題視されている。3月には抗議行動参加者17名に罰金刑が科されるなど、市民社会との緊張が高まっている状況だ。
声明の結びでは「教会や民族的価値観を守り続ける」と保守層へのアピールを強化。EUとの関係改善と国内改革のバランス取りが、今後の政権運営の鍵となりそうだ。