ジョージアの選挙監視団ISFED、新執行ディレクターにレヴァン・ナトロシヴィリ氏を選出
新リーダーの経歴と実績
ジョージアの選挙監視団体「公正な選挙と民主主義のための国際社会(ISFED)」は、ニノ・ドリゼ(Nino Dolidze)前代表の任期満了に伴い、レヴァン・ナトロシヴィリ(Levan Natroshvili)氏を新執行ディレクターに選出しました。
ナトロシヴィリ氏は2022年11月から副代表を務め、市民社会組織や公的機関、学術分野で17年の経験を有します。2012年から選挙監視とガバナンス改革に携わり、OSCE/ODIHR(欧州安全保障協力機構・民主制度人権局)の国際選挙監視専門家チームのメンバーでもあります。ジョージアで実施された全ての主要選挙で監視ミッションを指揮し、数十の研究報告書を執筆・編集してきました。
国際機関との連携実績
これまでに米国国際民主主義研究所(NDI)、国際選挙制度財団(IFES)、欧州評議会(CoE)などへのコンサルティングを提供。選挙プロセスの透明性向上に向けた専門性が高く評価されています。
政府与党との対立構図
ISFEDは長年ジョージアの選挙監視で重要な役割を果たしてきましたが、近年は与党「ジョージアの夢(Georgian Dream)」から繰り返し批判を受けています。2024年10月26日の議会選挙前後には「外国勢力の意向を受けた活動」との非難が集中。イラクリ・コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相も2024年3月6日のウズベキスタン訪問中に同様の主張を繰り返しました。
政府側は「選挙監視データを野党有利に操作し、政治的不安定を煽っている」と主張。これに対しISFEDは「中央選挙管理委員会の公式結果と整合しているが、選挙前の違反行為が有権者の自由意思に影響を与えた」と反論しています。
2020年問題の経緯
ISFEDの信頼性が初めて問われたのは2020年議会選挙時。当時使用した並行集計システム(PVT)に不具合が発生し、野党が「選挙プロセスの信用失墜を狙った操作」と批判。同団体は「セルビア式選挙モデルを採用した旧式ソフトウェアの誤作動」と説明しましたが、当時のエレネ・ニジャラゼ(Elene Nizharadze)代表は責任を取って辞任しています。
ナトロシヴィリ新代表の就任は、国内外の厳しい監視環境下で透明な選挙実現に向けたISFEDの新たな挑戦となるでしょう。日本との関係では、民主的プロセスの強化が投資環境安定化につながる点から、今後の動向が注目されます。
メディアソース: civil.ge