ジョージアの親ロ派グループ ロシアとの国交回復求める署名運動を開始
ジョージアの親ロ派政治家や社会活動家のグループが5月7日、首都トビリシ(Tbilisi)のホテル「アンバサドール」に集結し、ロシアとの外交関係回復を求める署名キャンペーンを始動させた。この動きの中心には、与党「ジョージアの夢」と関係が深いとされる人物が複数含まれている。
ロシア人実業家が主導するプロジェクト
会議を主催したのは、ロシア在住のジョージア人実業家マムカ・フィフィア(Mamuka Fiphia)氏。フィフィア氏は2023年に創設された親ロ派政党「平和のための連帯」の指導者の1人で、ロシア共産党のセルゲイ・ガヴリロフ(Sergei Gavrilov)議員と親交があることで知られる。ガヴリロフ氏が2019年に国会議長席に着座した事件は、大規模な抗議デモを引き起こした経緯がある。
著名な親ロ派人物が結集
会合には以下の人物が参加:
- トビリシ市長カハ・カラゼ(Kakha Kaladze)の義兄パアタ・アブラゼ(Paata Abuladze)
- 現職議員イリア・インジア(Ilia Injaia)の父で元議員フリドン・インジア(Fridon Injaia)
- 親ロ派団体「統一中立ジョージア」共同創設者ナナ・カカバゼ(Nana Kakabadze)
署名文書では「ロシア政府との直接対話を公式レベルで開始すべき」と強く要望。ジョージアが直面する経済・社会問題の解決にはロシアとの交渉が不可欠と主張している。キャンペーンは全国規模で展開される予定だ。
ロシア諜報機関との接触疑惑
フィフィア氏は会合前、モスクワでロシア対外情報庁(SVR)長官セルゲイ・ナリシキン(Sergei Naryshkin)と会談したとされる。会談写真も公開され、両者の緊密な関係が浮き彫りに。さらにフィフィア氏は5月9日の戦勝記念日パレードに参加し、米国制裁対象の元検事総長オタル・パルツハラゼ(Otar Partskhaladze)と共に赤の広場に立つ姿が確認された。
与党との接点
イラクリ・コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相がロシア投資誘致のために設置した「露亜ビジネス評議会」の責任者マムカ・メルクヴィラゼ(Mamuka Merkviladze)氏の存在も注目される。メルクヴィラゼ氏はプーチン大統領側近や与党創設者ビジナ・イヴァニシヴィリ(Bidzina Ivanishvili)氏との人脈を持つとされる。
政府の立場と歴史的背景
ジョージア政府は「領土占領問題がロシアとの対話における赤線」と表明しているが、ロシア側は近年たびたび関係正常化に言及。両国は2008年の南オセチア紛争後、国交を断絶したままとなっている。ロシアはアブハジア(Abkhazia)とツヒンヴァリ(Tskhinvali)地域を独立国家として承認しており、これが関係改善の最大の障壁となっている。
メディアソース: civil.ge