ジョージアのジャーナリスト裁判をEU議員が批判 政治的迫害と指摘

EU議員が指摘する裁判の問題点

オーストリア出身の欧州議会議員レナ・シリング（Lena Schilling）氏が、ジョージア（グルジア）のジャーナリストムジア・アマグロベリ（Mzia Amaglobeli）の裁判を視察し、厳しく批判しました。5月16日にバトゥミ（Batumi）で行われた法廷を傍聴したシリング氏は「これは法の支配ではなく、政治的迫害だ」と述べ、同国のEU加盟に向けた試練だと指摘しました。

証拠不十分な刑事訴追

シリング氏は「法廷で目撃したのは証拠不十分な滑稽な告発だ」と強調。アマグロベリ被告が十分な反論機会を与えられていない現状を「言論の自由への脅威」と断じました。人権擁護活動家として知られる同議員は、この裁判がジョージアの欧州的価値へのコミットメントを測る試金石だと述べています。

アマグロベリ被告の逮捕経緯と罪状

アマグロベリ氏は2025年1月12日、バトゥミ警察長官イラクリ・ドゲブアゼ（Irakli Dgebuadze）への暴行容疑で逮捕されました。刑法353条に基づく本件では、4年から7年の懲役が求刑されています。しかし現地人権団体は「証拠が不十分で政治的意図がある」と一貫して主張しています。

国際社会からの懸念

シリング議員は「アマグロベリ氏のケースは孤立した事例ではない」と指摘。世界中で勇気ある女性ジャーナリストが沈黙を強いられる構図と相似していると警鐘を鳴らしました。さらに「彼女の勇気はジョージア全体に希望を与える」と述べ、民主主義を守る市民社会への支援強化を訴えています。

EU加盟への影響

ジョージア政府は2023年12月にEU候補国地位を獲得したものの、民主化改革の遅れが課題となっています。シリング氏は「ジョージアが欧州の道に戻ることを切望する」と述べつつ、権威主義的政権が市民社会を最大の敵視する構図を強調。EU加盟実現には言論の自由と司法の独立が不可欠だと訴えました。

今回の裁判をめぐっては、欧州評議会や国際人権NGOからも懸念の声が相次いでいます。ジョージアの民主化プロセスが後退すれば、日本を含む国際社会との関係にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。同国は2012年に日本と投資協定を締結するなど経済関係を強化しており、法の支配の維持は外国投資家の信頼維持にも直結する課題です。

メディアソース: civil.ge