ジョージアに法改正求めるEU人権委 警察不祥事の徹底調査要請
EU人権委員がジョージア当局に改革要求
欧州評議会(Council of Europe)のマイケル・オフラハティ人権委員(Michael O’Flaherty)が、ジョージア(グルジア)政府に対し警察の不祥事調査体制の改善を求める勧告を発表した。特に「ツィンツァバゼ対ジョージア(Tsintsabadze v. Georgia)」と「マカラシュヴィリ他対ジョージア(Makarashvili and Others v. Georgia)」の2事件を焦点に、制度改正の緊急性を訴えた。
警察暴力事件の未解決問題
ツィンツァバゼ事件グループでは、警察や刑務所職員による暴行致死事件や不適切な取り締まりに関する28件の未解決案件が指摘されている。「具体的には公道での暴行や医療拒否による死亡事件、デモ参加者への暴力事件が含まれる」と欧州人権裁判所(ECHR)は2024年の審理で懸念を表明。現在も被害者の5分の1が適切な賠償を受けていない状況だ。
独立した司法調査機関の必要性
オフラハティ氏は最新の報告書で「警察官の識別可能な標章着用義務化」や「捜査機関の独立性強化」を提言。特に政権与党ジョージアの夢が進める「特別捜査局(SSS)の検察庁編入案」に対し、「捜査機関の政治的中立性が損なわれる」と警鐘を鳴らした。
デモ規制強化法への懸念
マカラシュヴィリ事件では、2019年11月18日に首都トビリシ(Tbilisi)で起きた親EUデモ鎮圧をめぐる権利侵害が問題視されている。ECHRが2022年にジョージア政府の違法性を認めた件を受け、オフラハティ氏は以下を強く要請:
- 行政拘束期間の60日延長法案(2024年11月可決)の見直し
- 市民団体との協議を経た行政法改革
- 拘束者への即時弁護士接見権の保証
国際社会の注視を受けるジョージア
オフラハティ氏は2025年1月のジョージア視察で、警察が催涙ガスや放水車を多用した親EUデモ鎮圧を直接確認。現在進行中の改革について「法執行の透明性と説明責任が欧州の価値観と合致しているか、継続的に監視する必要がある」と強調した。
今回の勧告は、ジョージアがEU加盟申請を進める中で不可欠な法の支配と人権保護に関する重要な指摘を含む。政府与党と野党の対立が深まる状況下、国際基準への適応が今後のEU統合の鍵を握っている。
メディアソース: civil.ge