ジョージアが英国人ジャーナリスト入国拒否 RSFが政治的背景を批判
入国拒否の背景とRSFの批判
2022年からジョージア(グルジア)に居住していた英国人ジャーナリスト、ウィル・ニール(Will Neal)氏が欧州連合(EU)と英国からの帰国時に入国を拒否された問題で、国際人権団体「国境なき記者団(RSF)」が「政治的動機による恣意的な措置」と強く非難しました。同団体は当局に対し即時の処分撤回を要求しています。
誹謗中傷キャンペーンの影響
問題の発端はニール氏が2024年4月に発表した調査報道にあります。英国の投資グループハンネウェル・パートナーズとEUから制裁を受けたロシアのオリガルヒロマン・アブラモヴィッチ(Roman Abramovich)とのビジネス関係を暴いた記事に対し、与党「夢連合(Georgian Dream)」系メディアや政治家が組織的な批判キャンペーンを展開。ニール氏を「ソロスの代理人」とレッテル貼りする事態に発展しました。
RSFの報告書によると、政府関係メディアの批判内容が与党幹部の発言と「奇妙な一致」を見せたことが指摘されています。現在ニール氏はエレバン(Yerevan/アルメニア)に滞在中で、トビリシ(Tbilisi)に残ってきた私物へのアクセスも閉ざされた状態が続いています。
国内外からの批判の声
RSF東欧・中央アジア部門責任者ジャン・カヴァリエ(Jean Cavalié)氏は「この措置はジョージア当局が独立したジャーナリズムを否定する新たな段階を示すものだ」と批判。「英国政府は自国民の権利侵害に対して断固とした対応を取るべきだ」と求めました。
増加する入国拒否事例
近年ジョージアでは活動家や人権擁護者、ジャーナリストの入国拒否が相次いでいます。直近では5月21日にEU代表部職員が入国を拒否される事例が発生(詳細)。当局は「技術的問題」と説明していますが、野党側は「反欧州的レトリックの拡大を示す事例」と懸念を表明しています。
国際社会の注視
日本においても民主主義と表現の自由の重要性が注目される中、親露的とされる現政権の政策が EU加盟候補国としてのジョージアの立場に与える影響が懸念されています。RSFの2024年報道自由度ランキングでジョージアは180カ国中103位と、政府のメディア統制が国際的批判を浴びている状況です。
メディアソース: civil.ge