ジョージアが英国ジャーナリスト入国拒否 RSFが政治的非難を表明
英ジャーナリストがトビリシ空港で入国拒否
ジョージア(Georgia)で2022年から在住していた英国籍ジャーナリストウィル・ニール(Will Neal)氏が、EU加盟国からの帰国時にトビリシ(Tbilisi)空港で入国を拒否された。国際ジャーナリスト組織国境なき記者団(RSF)は5月30日、この決定を「恣意的かつ政治的に動機づけられた措置」と非難する声明を発表した。
調査報道が発端の批判キャンペーン
問題の発端は、ニール氏が2024年4月に英国メディア『Bylinetimes』に発表した調査記事。同記事は英国投資グループ「フンネウェル・パートナーズ」と、EUが制裁対象とするロシア人オリガルヒロマン・アブラモヴィッチ(Roman Abramovich)との間の資金流れを指摘。これがジョージア政府与党「ジョージアの夢(Georgian Dream)」関係者への波及を暗示する内容だった。
RSFによれば、記事発表後、政府系メディアや与党政治家による組織的な誹謗中傷が発生。「ソロスのエージェント」(ハンガリー系米国人投資家ジョージ・ソロス氏関連団体の工作員との陰謀論的レッテル)との非難が続いたという。
RSF「報道の自由への攻撃」と非難
現在エレバン(Yerevan)に身を置くニール氏は、トビリシに残した私物へのアクセスも遮断された状態。RSF東欧・中央アジア局長ジャン・カヴァリエ(Jeanne Cavelier)氏は「これは外国ジャーナリストへの弾圧が新段階に入ったことを示す」と声明で厳しく批判した。
相次ぐ入国拒否事例
近年、ジョージアでは活動家や人権派ジャーナリストの入国拒否が相次ぐ。5月21日にはEU代表部職員が入国を阻止され、政府は「技術的問題」と説明したが、野党関係者からは「欧州統合への逆行姿勢」との批判が噴出している。
- 2025年5月9日:ベラルーシ人活動家入国拒否
- 2025年3月20日:リトアニア人権活動家入国拒否
- 2025年3月31日:フランス人フォトジャーナリスト入国拒否
国際社会の懸念高まる
カヴァリエ氏は「英国政府は自国民の権利侵害に対して明確な対応を取るべき」と要請。ジョージア政府の対応は、EU候補国としての民主主義基準からの逸脱を危惧する声を国際社会で強めている。報道の自由指数(RSF調べ)でジョージアは180か国中103位(2024年)と、欧州では最低水準にある。
メディアソース: civil.ge