ジョージア、18年ぶりにロシア産ガス代がアゼルバイジャン超え 2025年統計
エネルギー輸入構造に歴史的転換
ジョージア(グルジア)国家統計局(サクスタット/Sakstat)の最新データによると、2025年第一四半期において、同国がロシア産天然ガスに支払った金額が18年ぶりにアゼルバイジャン産を上回りました。この事実は、同国のエネルギー政策における大きな転換点を示しています。
輸入額の内訳
統計データでは、2025年1-3月期の天然ガス輸入総額が1億8,305万ドル(約95億2,860万円)に達したことが明らかにされています。内訳を見ると、ロシア産が1億60万ドル(約52億3,120万円)、アゼルバイジャン産が8,240万ドル(約42億8,480万円)を占めました。輸入量に関する具体的な数値は公表されていません。
歴史的背景と推移
ジョージアのエネルギー輸入構造は過去20年間で劇的な変化を遂げてきました。2007年まではロシアが主要供給国でしたが、以下の要因により状況が一変しました:
- 2006年:バクー(Baku)-トビリシ(Tbilisi)-エルズルム(Erzurum)パイプラインの稼働開始
- 2006年:ロシアとのスパイスキャンダル発生
- 2008年:南オセチア紛争(ロシア・ジョージア戦争)勃発
これらの事件を契機に、ジョージアはエネルギー供給源の多様化を推進。2009年にはアゼルバイジャン産ガスの輸入額がロシアを逆転し、以降長らく主要供給国としての地位を維持してきました。
近年の傾向と2025年の逆転
2009年当時、ロシア産ガスの輸入割合は42%でしたが、近年では着実にシェアを拡大。2025年第一四半期には55%まで上昇し、金額ベースでアゼルバイジャンを上回る結果となりました。この変化は、ロシア産ガスの価格変動や供給条件の変化、地域の地政学的状況の影響が指摘されています。
専門家の見解
エネルギーアナリストの一部は、この傾向が継続する場合、ジョージアのエネルギー安全保障に影響を及ぼす可能性があると指摘。特に、ロシアへの依存度が再び高まることで、地政学的リスクが懸念材料として浮上しています。一方で、アゼルバイジャンとのエネルギー協力が継続している点から、供給源のバランスを保つ重要性が改めて認識されています。
日本との関係では、ジョージアがエネルギー輸入先の多様化を図る中で、再生可能エネルギー分野での協力可能性が注目されています。両国間では近年、地熱発電や水力発電に関する技術協力の協議が進められており、今後の展開が期待されます。
メディアソース: civil.ge