イヴァニシヴィリ氏が米大使会談を拒否した背景
ジョージア(グルジア)の「ジョージアの夢」党名誉議長ビジナ・イヴァニシヴィリ(Bidzina Ivanishvili)氏が、米国大使との会談を拒否した理由について、米国による制裁と「個人への圧力」を主な要因として挙げた。2025年5月28日に米国大使館が公表した声明によると、イヴァニシヴィリ氏はトランプ政権時代からのメッセージ伝達を目的としたロビン・ダニガン(Robin D. Dunnigan)大使との面会を断ったという。
制裁と個人への圧力が会談拒否の要因に
イヴァニシヴィリ氏は選挙前のインタビューで繰り返し述べていた主張を改めて強調。「バイデン政権による公式・非公式の制裁が心理的負担を生んでおり、国益にかかわる決定に私的利害を考慮してしまう可能性がある」と指摘。さらに「この心理的負担は私だけでなく、チームや国民全体にも影響を与えている」とコメントした。
金融制裁をめぐる複雑な事情
イヴァニシヴィリ氏はスイスのジュリアス・ベア銀行が、訴訟で勝ち取った資金を返還しない事例について言及。これは米国側の非公式な圧力が背景にあると主張。「個人への脅迫的状況下で国益に関する会談を行うのは不適切」と述べ、代わりに制裁対象外のイラクリ・コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相との面会を提案したが、大使側が拒否したことを明らかにした。
米ジョージア関係の行方
イヴァニシヴィリ氏は「米側が制裁解除ではなく、むしろ資金凍結を利用した個人的圧力を重視していることが明らかになった」と批判。その一方で、「戦略的パートナーシップの再構築」に向けた対話継続には希望を示し、「政府指導部は米国の真剣な関心があれば積極的に協力する」と述べた。
歴史的経緯と日本の読者向け解説
イヴァニシヴィリ氏は2012年から2013年まで首相を務めた実業家で、ジョージアの政治に強い影響力を保持。米国との関係は親EU・NATO路線をめぐり摩擦が続いており、近年は外国人代理人法を巡る対立が先鋭化。日本からジョージアへの政府開発援助(ODA)は、2023年時点で累計約1,000億円(約19億ラリ、1ラリ=52円換算)に達し、インフラ整備や文化交流が主な協力分野となっている。
メディアソース: civil.ge