アムネスティ、ジョージア政府の抗議活動家へのジェンダー暴力を告発
人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは、ジョージア(Georgia)の与党「ジョージアの夢(Georgian Dream)」政権が抗議活動に参加する女性を対象に、ジェンダー暴力と報復行為の増加傾向を指摘する報告書を発表した。同組織は、政府が「非合法な身体検査」「性的暴力の脅迫」「女性への差別的侮辱」を平和的デモ参加者の威圧・処罰に利用していると批判している。
威圧の意図が逆効果に
アムネスティ東欧・中央アジア地域副代表デニス・クリヴォシェエフ氏は「政府は女性への恫喝や違法な家宅捜索、恣意的な逮捕で抗議を抑圧できると考えたようだ」と指摘。その一方で「結果は逆効果となり、女性たちが公然と暴力に抗議し正義を求める動きが強まっている」と述べ、ジョージア女性が政府の弾圧を「団結と平和的抵抗の原動力」に変えている現状を強調した。
国家による暴力と侮辱的な身体検査
報告書は複数の女性活動家への事例を詳細に記述。野党「ドロア(Droa)」党首エレナ・ホシュタリア(Elena Khoshtaria)の逮捕や、Facebookグループ創設者クリスティーナ・ボトコヴェリ(Kristina Botkoveli)の家宅捜索、活動家ニノ・マハラゼ(Nino Makharadze)の拘束を挙げた。いずれも法的根拠なく全裸検査を受けるなど、人権侵害が行われたとしている。
性差別的脅迫の横行
当局者がデモ参加者に「性的暴行の脅迫」「家族への報復予告」などの差別的発言を繰り返していた実態を暴露。2025年2月のトビリシ(Tbilisi)での抗議活動では、覆面警官が女性に性的暴行をほのめかす発言をしていた複数の証言を確認した。2024年11月のデモでは活動家ナティア・ジジグリ(Natia Dzidziguri)が男性警官に囲まれた車内で膝立ちを強要され、性的な侮辱を受けた事例も報告された。
組織的な暴力の構造
クリヴォシェエフ氏は「政府が検査名目で女性の尊厳を破壊する行為を制度化している」と指摘。バトゥミ(Batumi)警察署長が女性ジャーナリストムジア・アマグロベリ(Mzia Amaglobeli)に暴言を吐き唾をかける様子が映像記録されているにもかかわらず、司法がこれを無視している事例も例示した。
アムネスティの提言
- 拷問禁止法の厳格な適用と女性への不当扱いリスクの評価
- 違法な身体検査の中止と明確な手順規定の作成
- 警察の暴力疑惑の徹底捜査と加害者の職務停止
- 被害者への補償とリハビリテーションの保証
メディアソース: civil.ge