アブハジア暫定指導者 対話条件に武力不行使を主張
グンバ氏の要求とジョージア政府の立場
ロシアの実効支配下にあるアブハジア(Abkhazia)の暫定指導者バドラ・グンバ(Bardra Gunba)氏は5月9日、モスクワの国営通信「リア・ノーボスチ」とのインタビューで、ジョージア政府との対話の条件として「現実の承認」と「武力不行使合意」の締結を要求しました。日本政府はアブハジアを「ジョージアの不可分の領土」と認識しており、この主張を支持していません。
「完全な独立国家」主張の背景
グンバ氏は「ジョージアの政治エリートは現実を受け入れられていない」と主張し、「アブハジアは独立国家であり、自らの文化や伝統を自由に発展させている」と強調。市民に対し「自らが占領下にあると思うか」と問いかけるようジョージア政府に求めました。ただし国際社会の大多数はアブハジアをロシアの占領下にある地域とみなしています。
選挙経緯と安定化への取り組み
同氏は2025年11月の大規模抗議活動で前指導者アスラン・ブジャニア(Aslan Bzhania)氏が退任した後、繰り上げ選挙で当選。ロシアの支援を受けて選挙を実施した経緯があります。インタビューでは「アブハジア情勢は安定化した」と述べ、選挙活動中から「平和と安定の維持」を最重要課題としていたと説明しました。
ジョージア政府との関係構想
グンバ氏は「すべての隣国と平和的に共存することが優先事項」としつつも、ジョージアとの対話条件として以下を提示:
- アブハジアの独立国家としての現実認識
- 武力行使不行うとの法的合意締結
ただしジョージア政府は一貫して、ロシア軍の撤退と領土保全の回復を和平交渉の前提としています。
複雑化する地域情勢
この発言は、2025年3月にグンバ氏とロシアのプーチン大統領がモスクワで会談した直後のもの。アブハジア暫定政権がジョージアに対し、占領地域に関する法律の撤廃を求めている背景には、ロシアの強い影響力が指摘されています。東欧情勢に詳しい国際法専門家は「『対話条件』提示は現状固定化を図る意図がある」と分析しています。
メディアソース: civil.ge